第5話
俺達は魔王城の最終エリアに
たどり着いた。
「勇者様。本当にいいんですか?
伝説の剣まだ抜いてないですよ?」
「いらない。」
俺は魔王のいる玉座の間の扉を蹴り開けた。
「勇者よ。よくぞたどり着いた。
ここまで来たと言うことは、
私の部下は全員倒したと言うことか。」
魔王城の壁登ってここまできたから
ぶっちゃけ倒してない。
まあ倒したことにしておこう。
「にしても……」
魔王は玉座から立ち上がった。
「丸腰ってどういうことだ貴様ら!
まさかそれで部下を倒したんじゃあるまいな!?」
「あんなザコ余裕だったぜ!」
ほんとは倒してないけど。
「勇者様!喧嘩売らないでください!」
「フン!面白い!私が自ら消し去って
くれよう!」
魔王の手には彼の身長ほどの長さがある
大剣が召喚された。
「お前は下がっとけよ!」
「いや、でもそういう訳には……」
俺の守備力はほぼ無に近く、
おそらく魔王の攻撃を一撃でも
当たれば死ぬだろう。
でもあくまでそれは"当たれば"の話。
かわせばいいだけだ。
「チッ!すばしっこい奴め!」
この戦闘は
行動パターンは記憶済み。
丸腰で挑んだのは理由がある。
とあるバグを使用するためだ。
魔王との戦闘中、丸腰で
薬草を捨て、拾う作業を
10回くらい繰り返すと
1回だけ攻撃力がMaxなり、魔王を
一撃で倒せると言うものだ。
「勇者様……なにしてるんでしょうか……」
「小賢しい!これでおしまいだ!」
魔王は究極魔法を唱えだした。
「今だ!」
俺はその隙を見逃さず魔王の腹に
フルスイングのパンチをはなった。
「丸腰のお前の攻撃が私に効くわ……
ヌワッ!?」
魔王の腹には大きな風穴が空いた。
「倒した……?勇者様の勝ち……?」
魔王はゆっくりとその巨体を
地面に倒す。
4時間56分17秒、俺は命をかけた
RTAに勝利の二文字をかざした。
「我をいとも簡単に倒すとは……
貴様はいったい何者だ?」
「俺?俺はただのしがないゲーマーさ。」
親指を立てて気取ってみせた。
「勇者様…!体が!」
俺の体が突然消えだした。
もしかしたら、元の世界に帰れるのか。
「勇者様、大丈夫なんですか?」
「ごめん、これでさよならだ。」
「そうですか……」
彼女はどこか寂しそうな顔をしていた。
「なあ僧侶。最後に名前聞いていいか?」
いままで聞いていなかった。
こんなに連れ回したくせに。
俺って最低かもな。
「エリザ。それが私の名前です。」
震えた声で言ってくれた。
「ありがとう。エリザ。」
Fin
天才ゲーマー、異世界でもRTA 〜最速で魔王討伐〜 ちわわんこ @chiwawanko
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