第11話 透明な涙

チビ、、。

どうして?

まさか、私だってわかったの?

お願い、あの頃の私はもういないの。


「あのう、間違ってたらすんません。

お姉ちゃんとちゃいますか?」


ああ、ああ。

なんて残酷なの。


「えっ?お客さん、初めてお店にいらして下さったと思いますが。

何処かでお会いしましたか?

ごめんなさい、私、覚えてなくて、、。」

嘘よ、嘘。

チビ、あなたの事覚えてたわ。


「お姉ちゃん。

僕な、貝殻の入った虹色の便箋の手紙読んだよ。

ちゃーんと、僕にな、伝わったよ。

せやからな、探してもろてん。

わかってるから。

お姉ちゃんのことな。わかってるから。」


「そう、、。

私ね、こんなんになっちゃった。」

私、笑ったわ。


「お姉ちゃん、嘘笑いやめ!

僕の前で、そんなんやめ!」

チビ、大きな声でそう言ってキツく手を握った。


「チビ、、。

あんな、心配しとってんでチビの事。

あれからな、うちも色々あったんや。

だからな、余計にチビどないしてるんやろ。

辛い想いしてへんやろかってな。」


何年も、私の瞳から出ることが出来なかった

しずくがぽとぽと落ちたの。

チビ、手でそっとぬぐってくれた。





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