第6話 笑えば空色

結局、それからは公園には来なくなったわね。

お互いに家なんて知らなかったから。

そうじゃないわね。家なんてなかったもの。


私は1人で生きてた。

君のことを探したけれど、わからなかった。


個人情報保護法がね。



諦めてたとき、ふとテレビをつけた。

漫才グランプリの予選だった。


一組のコンビが出てきたわ。


「はーい、みなさん!!

宜しくお願いしますーー。

なぁ、姪っ子の誕生日があんねんなー。

何をプレゼントしたらええやろ?」


「あっ!ええのあんで、誰もが喜んでまうやつ。

もう、にゃにゃ喜ぶわ。」


「ホンマか?それなんや?」


「チュール!あれは、凄いで。高飛車な猫にも効くんやからなぁ、、、。」


「いや、姪っ子、人間やから。」


「人間でも食べられるって。安心せい。」


「皆さん、こいつ、子供の頃、貧乏で

近所の犬のご飯盗み食いしてたんですわ。

信じられへんでしょう?

だから、こんなん言うんですわ。」


「昔のワンコのご飯は美味しかったなぁ。

ご飯に残りのおかずがのせてあんねんな。

家によって味がちゃうから。

毎日、メニューちゃうねーん。」


「いや、おらんで。ねぇ、みなさん。」


「今はあかんな。猫も犬もみーんな

カリカリしたご飯やろ。

あれは、あきる。」


「ちょい待てや、飽きるって、まだ近所の犬のご飯食べとんかいな。」


「うん、たまにな。」


この話。

テレビの前に駆け寄ったわ。

チビ、君なの?

そう、漫才師になったのね。

うん、オモロイで。

オモロイやないの。




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