第2話仲間

ローランはまずファンの冒険者の酒場を目指す。

冒険者はまず冒険者の酒場に行き依頼を探すのが常識だ、そこに貼りだられてる依頼や直接頼みに来る依頼者から仕事を請け負う。

有名になればなるほど店側や依頼者からの依頼が来る確率が上がる

駆け出しの冒険者であるローランには縁がない話だ。

仕事内容も捜索やモンスター討伐、商人の道中の護衛、ドブさらい等多岐にわたり駆け出しの冒険者には紹介されないものもある。

ローランはまず東方諸国を目指すので出来れば東方に行く商人の護衛でもあればなと考えていた。

しかしそう上手くあるものでもなく

今日はなかった。

ここより更に西方の国テンチルドレンと呼ばれる小さな国々に向けてのものはあったがそんな所に行くつもりはいので見送った。

って言っても紹介して貰えるかどうか分からないのだが…

酒場でグダグダしていると店の主人が話しかけてきた。

「兄ちゃん、新入りか?」

「あ〜そうだ、東方諸国に行きたいんだがいい依頼がなくて」

「護衛の仕事か?

最近道中の盗賊が多いらしいからな

そのうちあるよ。」

「だったらいいんだけどな」

「兄ちゃんいいガタイしてるな?

戦士かなにかか?」

「あ〜って言っても剣術は我流だけどな」

「そうか、強そうどけど盗賊共は徒党を組んで襲ってくる

だから依頼を請けるなら仲間を集めた方がいい

その方が依頼者も安心して任せられる」

「それもそうだな

オヤジありがとう」

ローランはここにいても仕方ないので街中に行くことにした。

街中は出店商店が建ち並び賑わっていた。

あまり首都に来たことがないローランからしたら店の数も人の多さも目が回りそうになった。

特に今日みたいに天気のいい日は人の往来が激しくなりぼーとしていると人にぶつかる恐れもある。

街中をウロウロして少し疲れたローランは

街のなん中にある噴水場で腰を下ろして辺りにぼんやり眺めていた。

そんな時1人の人物に目がいった。

背は低く、腹がでで恰幅がよくそれでも腕や足は筋肉に覆われていた。

あれはドワーフの戦士か?

ローランがそう思った時そのドワーフの戦士は1人の人物とぶつかった。

ぶつかったのはそのドワーフよりも更に小さく一見子供に見えるがそうではなくあれは

おそらくグラスランナーっていう種族だった。

グラスランナーという種族は所謂小人族なのだがその類稀な身体能力の高さや周りの危険を察知する能力に長けていた

主にシーフやスカウト、レンジャーといったものはこの種族が多かった

ただ見た目同様筋力が弱く戦闘には向いていない主に掻き回す専門的なところがあった。

2人はぶつかったというよりグラスランナーの方がドワーフにぶつかりにいったようにも見えた。

ぶつかった方は

「ごめんよぉ」なんていっているが恐らく懐から財布を盗んだんだろう

とはいってもそれを目にした訳ではないあの小人族は街中スリなどもすると聞いたことがあったからそういう予感がしただけなのだ。

2人は離れ小人族の男は見えなくなっていた。

ローランはそのぶつかったドワーフに近づき話しかけた

「あんた財布は持ってるかい?」

ドワーフは

「あ〜勿論懐に」

といった所で言葉が止まり懐やお尻のポケット等をまさぐるが目的の財布はなさそうだった。

「さっきの野郎にやられたな」

ローランはそう言うとドワーフは

「あのガキがぁぁぁ」

と怒り狂っていた。

まぁあの小人族の男が何歳かは分からないが

このドワーフよりは歳下だ方からガキはまたがっていないかもされないなと思っていた。

そもそも亜人族、人間以外の種族はみんな長寿であるエルフを始めドワーフ、グラスランナーもみんな人間よりは長寿ではあるだから見た目ではその人物が何歳かは分かりずらいものなのだ。

ローランは

「運が悪かったな」といってその場を立ち去った。

ドワーフの男は周りをキョロキョロしているがあの小人族の男が近くにいるばずもない事は分かりきっていた。

ローランは夕方までウロウロしていたが

日も暮れようとしていたので宿屋に戻る事にした。

冒険者の酒場は常に繁殖していた。

冒険を終えた冒険者やこれからこの地で仕事を請け負う冒険者またはこの街に住む住人等色んな人が沢山来て今日の疲れを癒す為に酒を飲んでいる。

ローランは明日こそはいい仕事があることを期待しつつ簡単な食事とエールを注文していた。

夜もだいぶ老けてきていた。

皆が家路についてるローランも宿に戻うとした時の事である

1人の男とぶつかった。

とはいっても視界には何も入っていないから

恐らく小さい奴なんだろう

今日昼間広場で見かけた小人族がローランとぶつかり離れようとしていた。

咄嗟にローランは

「おい、そこの小人族待ちな」

と行った。

小人族の男は一緒ぎくっと体を硬直させたが

ふと後ろを振り返り「なにか?」といった。

ローランは確信はなかったが

「俺の財布を返せ」

と言った。

勿論小人族の男も

「なんのことです?」と惚ける

「いいからこっちへこい」と言い前に進もうとすると小人族の男は慌てて逃げようと店の扉に走った。

だが店の扉から1人の人物が入ってきたおかげで小人族の男はぶつかりしかも後ろにはね飛ばされた。

「いた〜なんなんだよ」

と言ったのも束の間入ってきたのは昼間に小人族から財布を盗まれたドワーフだった。

「やっと見つけたぞこの糞ガキが!!」

ドワーフはあれからずっとこの小人族の男を探していたのだ。

小人族の男は「ひぇ〜なんなんですか?」とまだしらばっくれているが自体は最悪の方に向かっていることを悟っていた。

「観念して儂の財布を返せ!

そしたら命は助けてやるぞ!」

ドワーフの男は激昂していた。

前にはドワーフ、後ろにはローランと挟まれた小人族の男は観念したのか店の中央に座り込み

「もう使っちまってねぇよ」とふてぶてしくいった。

ドワーフは

「じゃあ

その命で贖うしかないのぉ」といい腰に吊るしていた斧を振るいあげた。

流石にそれはまずいと思いローランも間に入った

「まぁ待てよ、気持ちはわかるけど何も盗みぐらいで殺しまでする事ないだろ」

「いーやこういう輩は早めに成敗しとくに限る」

ドワーフの怒りは治まらないようだ。

「おい、お前もほんとに全部使ってしまったのか?」

「うん、全部使っちまっったよ」

と悪びれる様子なく言う

「じゃあ何かそれに見合うような物はないのか?」

「あ〜あんたからぎった(盗んだ)財布の中身を使っていいなら代用できるかも」

ローランはこの糞ガキ(恐らく自分より年上ではあると思うが)とも思ったがとりあえずこの場を治めるべくまぁ少し話をしようと提案した。

ドワーフもどうせもう逃げられないだろうと

言うことはわかっているので話に乗ってくれた。

それから3人は店のテーブルに座りエールを注文した。

勿論小人族の男には腰紐をして逃げられないようにして。

ローランはまだ二人の名前等何も知らない、そこで軽く自己紹介を提案した。

すると小人族の男が意気揚々と話し始めた

「おいらの名前はアップルジャック、見てのとおりのグラスランナーさ

職業は流しのスカウトをやっている」

といっているが流しのスカウトと言えば聞こえがいいが要はどこのギルドのも属していない

風来坊なのだろう街中でスリをして日銭を稼いだるであろうことは想像できた。

ローランが「あんたは?」とドワーフに尋ねた

「儂か?儂はドワーフのウォッカじゃ、

職業はそうじゃのぉスミスをしておる」

ドワーフは見た目から想像できないが手先が器用な奴が多いクラフトマン(職人)が多く

スミスというからには何か武器や防具、装飾品の類をつくっていいるのだろう。

「なんでこんなところに」ローランが聞くと

「儂の住んでいる村の付近ではもう良い鉄がとれなくなってな

そこで外に出て良い鉄を探しに来たというわけじゃ」

そして次自分の番が回ってきて

「俺はローランついこないだまでこの国の町外れの教会で司祭見習いをしていた」

そう言うと

「ということはお主マイリー神の…

それが冒険者になったという訳か」

意味ありげに言うが言わんとしていることは分かった

この世界では6大神を多く信仰されておりマイリー神はその一つで戦を司る神だ

死を恐れることは無いもし戦いで死しても喜びの野に導かれると信じているからだ。

それゆえ冒険者になる6大神のマイリー神を信仰する者の死亡率は他の神を信仰するものより

群を抜いて高い、短命の冒険者の異名がある。

そのことを言いたいのだろうが今は敢えて触れにでおこう。

そんなこんなで話をしているとローランはふと今朝この店のオヤジに言われた事を思い出す。

仕事を請け負いたければまず仲間を探した方がいいというやつだ。

ふと二人を見て色々問題はありそうだがこの際まぁ仕方ないかという思いもあり二人に声をかける。

「なぁあんたらこの先の予定はわからないけど良かったら俺と一緒にオランにいかないか?

俺は冒険者として名を上げたいとおもっているが冒険者といえばやっぱオランだろ!?」

ローランは少し興奮気味に語りだした。

それにアップルジャックは

「えぇ~、オランって遠いじゃん?

それに冒険者っていったらやれモンスターだ、やれ盗賊だだの危険が一杯じゃん?

命がいくつあっても足りないよ!!」

と愚痴をいっているがお前に断る権利あるのか?とも思っているが今は黙っておく

「なぁあんたはどうなんだ?」

ウォッカに尋ねてみる。

「確かに儂もこれといって行き先を決めているわけではないんだがな」

「じゃあ一緒にオランへ行こうぜ!

オランなら情報も沢山入ってくるだろうし良い鉄の情報もあるかもしれないぜ!?」

調子のいいことをいいって話を進める。

「まぁ儂は構わんが、でも旅の路銀はどうする?

儂はこやつのせいで一文無しになってしまったぞ?」

「それなら心配ないさ、道中依頼を受けつつ路銀を確保しながらオランを目指せば」

「まぁそれならいけるか」

ウォッカも頷く

「じゃあ決まりだな」

と締めくくろうとした時アップルジャックが口を挟む

「あのぉ~、おいら一言も賛成っていってないんだけど…?」

ローランとウォッカがアップルジャックに冷たい視線をおくる。

「なに?、貴様に拒否権があると思っているのか?
なんなら先ほどの続きをするか?」

とウォッカは腰に手をやり斧を掴む

ローランは両手を上げやらやれというポーズをするが止める気は無いようだ

「な~に命まではとらんよ、しかしもう悪さ出来ん様に両腕を落としておいたほうがよさそうじゃの」

「ひぇ~、わかったよぉ

ついていくよ!!その代わりあんたから捕った分返したらおいらは抜けるからな!」

「あぁいいぜ」

とローラン

「ふん、儂の財布の中身は確か1000ガメルはあったはずじゃからな」

「嘘つけ!?そんな入ってなかったは!!

100ガメルもなかったぞ、この悪徳ドワーフが!!」

と悪態をつける。

これで3人があつまり一つのパーティーが出来上がったのだった。

翌朝3人は店のオヤジに仕事を斡旋してくれるようにおねがいする。

店のオヤジはローランを覚えていた

「おぉ~、昨日の兄ちゃんか?」

後ろにいる二人をみて

「早速パーティーを組んだみたいだな

よし仕事を斡旋してやるって言いたいところだけど

まだ、朝の早い時間だからな依頼が入ってきてないんだよ」

「だが、いい仕事が入ってきたらお前たちの事を紹介してやるから

これにパーティー名と代表者の名前を書け」

と言われ1枚の紙をさいだされる。

ローランはパーティー名って言っても昨日知り合ったばかりだからなと考えてが

すぐにいい案を思いついた。

俺たちにぴったしのパーティー名があるじゃないいかと

ローランは早速紙にパーティー名と代表者名を書き込んだ

パーティー名:スクラッチ(よせあつめ)

代表者名:ローラン

と…

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