Day.4-2 死神少女の願い
「俺が言ったら教えてくれるって」
そして繋希もまたレイカに願いを聞いた。
「私は、繋希君が言ったらねとは言ったけど、教えるとは言ってないわよ? 私が最後まで言い終わる前にあなたが勝手に話し始めたんじゃない」
「ずるいなそれ」
「人―じゃないわね。死神の話はちゃんと最後まで聞くことね。嘘をついていたらどうするの?」
「今までそんなことはなかっただろ?」
「実は今日までの私の言葉に嘘が混ざっているかもよ?」
「まさか。いやいや。そう思えるものは無かったし」
「分からないわよ? 特に私みたいな女はね」
からかっているのか、とても意地悪そうな目を繋希に向ける。
その目は悪戯心に満ちており、それでも嘘を言っているようには思えなかったので
「それで、結局レイカの願いってなんなんだ?」
と繋希が再び話を戻すが、また今度ねと呆気なくあしらわれてしまった。
そしてこの話はおしまいと言われたかのように繋希は腕を掴まれて隠れ家へと戻るのだった。
***
レイカは、覗くんじゃないわよ?と一言言うと、別室へ帰っていった。
何時かは分からないが、人間だった頃の体感的に多分夜の何時かだろう。
そう感じた繋希は例の家具みたいな木材の上に眠気と共に寝転がった。しかし、横になると眠いはずなのにどうも寝付けなかった。
しばらくすると、誰かが部屋に入ってきた
繋希は背中でその気配を察知した。それは足音を立てないようにしているものの、この静かで真っ暗な空間ゆえに聴覚が鋭敏になっている繋希にはひたひたという音が聞こえていた。
それは繋希の近くで止まると、ぎぃ…と音を立てて木材の上に登った。
背中でそれを聞いている繋希は振り返るでもなく、ただ寝たふりをしていた。
ここ近辺には自分とレイカしかいない。死神の役目的に私情で銀の弾丸を使って強制執行をするといった事をするはずがない。
だからこそ繋希は特に警戒せずにそのままでいた。
ならどうしてレイカがここに?
という疑問が頭を過るが、それを自己解決する前に足音の主が繋希と同じ木材の上に寝転がり、彼の服を軽く握った。
「……ありがとう。ごめんなさい……」
そう言ってレイカはまもなくして寝息を立て始めた。
繋希にはその言葉の意味は分からなかったが、その寝息につられて次第にうとうととし始める。
遠くで鐘の音が鳴った。
繋希は自分の体感と鐘の音のタイミングを照らし合わせた。
人間として生きていた時における一日の終わりくらいだと感じたのだった。そしてこれはきっと狭間の世界における日付が変わる瞬間を表しているのだと結論付けたのだった。
残りの日数でレイカが私情を挟む事は起きるのだろうか。
そんな不安の中で自然と眠りにおちていった。
繋希の魂の残量、残り三日。
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