第9話

「へぇ、お友達の結婚式用ね」

「そうなんです、ファッションに疎いのでお洒落な服とかあまり持ってなくて」

「いいよ、私で良ければ一緒にみてあげる」

 早乙女さんとのお出掛けの日、私の希望で洋服を買いに行くことにした。センス抜群の早乙女さんに選んでもらえたら間違いないと思う。


「やっぱりワンピースかなぁ、コレなんかどうかな。はい着てみて」

 あれよあれよと渡され試着を繰り返し、また別の店舗へと移動して繰り返す。

「そういえば足はどう?」

 一段落した時に聞かれるまで、すっかり忘れていた。

「そういえば、少し疲れたかな。でも忘れてたくらいだから大丈夫。痛みもないし、インソールのおかげかな」

「そうね、良さそうね。でも無理しちゃダメだから、履き替えようか」

「はい」

 履き慣れた靴に替え、またショッピングの続きへと向かう。

「ねぇ、うさちゃん」

「えっ、うさ?」

「宇佐見さんだから、うさちゃん」

「ウサギみたい」

「可愛くて良いでしょ?」

「はは……」

 可愛すぎでは?

「うさちゃん、せっかくだから可愛いランジェリーも買わない?」

「ええっ」

「ほら、彼氏さんに女らしくって言われたんでしょ? 驚かせようよ」

 早乙女さんは、グイグイと引っ張ってくれて、私をどんどんお洒落にしてくれる。

「次回はメイクもさせてね」

「はい是非、お願いします」

 楽しかったなぁ、また会う約束もしちゃったし、もう友達って言ってもいいのかな。

「そういえば、インソール代払わなきゃ」

 友達ならば対等でいたい。

「あれは、モニターってことで。また感想聞かせてくれればいいよ」

「そんな、なら夕食奢ります。今日付き合ってもらったお礼も兼ねて」

「それじゃ、ご馳走になろうかな」

「やった」

 もう少し、楽しい時間が過ごせることに私も素直に喜んだ。


 その後、秀吾とも定期的にデートはしているが、お洒落なランジェリーはもったいなくて見せていない。早乙女さんは彼のためにって言っていたけれど、私はなんだかそこで使うのは違うような気がしていたのだ。

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