第14話 将来の夢はお母さん見たいに幸せな家庭を作ることです!

「お母さんはどうしてお父さんと結婚したの?」

小学生の頃だろう、道徳の授業で「「『愛』につぃて家族に聞きましょう!」という宿題が出された。

あの頃の純粋な私には『愛』という言葉の重みも価値も分からなかった。

「愛してる」良く見ていた恋愛ドラマの告白シーンに沢山使われていた言葉、あの頃の私はその言葉にまだ希望を抱いていた。

「そうね〜お父さんの事を愛していたからかな?そんな愛する人と家族になって幸せな家庭を築く、私の夢でもあったから」

「ねえ?私もいつかお母さん見たいに幸せになれるかな?」

「できるわよ!これからきっと素敵な人に出会って、恋に落ちるのよ!」

過去に話した理想的な会話が何故かフラッシュバックして涙が止まらない。

年が上がるに連れてお母さんとはそういった話をしなくなった。

特に大学生になってからは夜遅く帰る事が多く、めっきり会話をする機会も少なくなった。

「変な男には騙されちゃダメよ」

お母さんは時折そんな言葉を私にかける。

お母さんもましてはお父さんも私のことについてはあまり聞いてこない

二十歳を超えて実家住みの大学生なんてこれが普通だと思うけど。

時間はまだ二十二時前で家の電気がついていた、いつもバイトや遊んで帰ってくる日は基本二人とも寝ていて家の電気は消えている。

今の私のこころの不安定な部分が剥き出しなのか、家の電気が何故か暖かく感じた。

「あら今日は早いのね・・・・珍しい」

「うん・・・」

家に帰るとお母さんが手厚く出迎えてくれた。

「あら、今日は良い服着てるじゃ無い!もしかしてデート?」

「違うよ、そんなんじゃない」

家に帰ってきて束の間お母さんとの会話が始まってしまって、疲れている頭にはそれを返す余裕はなかった。

「そういえば、珍しいものが出てきてね・・・」

「何?」

「あなたの小学校と中学の卒業アルバム」

「え?」

私は手も洗わず急いでリビングに駆け込み机に置かれたアルバムを手に取る。

「なんで?私やだっていったじゃん!この頃の私ブスだし、キモいし、アルバム出さないでって・・・」

「しょうがないのよ・・・古い荷物整理してきたら出てきちゃってね・・・久しぶりに見たら懐かしくて・・・」

小学校と中学校は私の垢抜け前全盛期。

いわば呪われた呪物に近い。

お母さんはアルバムを開き私に見せる。

小学校の頃のブスでデブな私の写真が目に入る。

「この頃の貴方も私は好きよ!可愛くて・・・とくに将来の夢なんてね!」

将来の夢?何を書いたのかなんて一切覚えてない・・・私は恐る恐る卒アルに目をやる。

『将来の夢はお母さん見たいに幸せな家庭を作ることです!お父さん見たいなかっこいい人に出会って恋に落ちて、結婚して子供を沢山産んで、毎日笑顔でいたいです、これが私の夢です』

涙が止まらなかった、気づいたら大量の涙が溢れ出して、堪えきれなかった。

「ちょっとひかる?どうしたのよ?」

あの頃の私はなんて綺麗なんだろう、『恋』『愛』を誰よりも信じて願っていた。

光を信じて生きてきた一人の少女だ・・・

今の私は・・・いつから私はこんな風に・・・いつから私はこんな感情を捨ててしまったんだ・・・

幼い頃の私は何処に行ってしまったのか。

「ごめん、部屋行く、もう見たく無いからしまって置いて」

そう冷徹に言い残し私は自分の部屋に逃げ込む。

ベットに潜り込んでひたすら泣いた。

過去の私の願いが今の私をより縛りつけた。











   

   




 


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