第13話 そんな気持ちで付き合うのは最低
今日は『とは』と二回目のデートだというのに全然気乗りしなかった。
先日、信二君に私の恋愛について悟られ見抜かれてしまった。
それ以降まだシフトが被っていないのでバイト先で会う事は無いが気持ちがずっと困惑したままだった。
そんな中での二回目のデートで気持ちに余裕なんて一切無かった。
告白は三回目のデートが多いと良く言われている、その割合が正しいなならこの二回目のデート次第で決勝進出が決まる。
私は一刻も早く彼氏が欲しい、早く自分のこのコンプレックスを断ち切りたい。
焦っては行けないのは承知している、なのに・・・・・・・・
品川水族館の中でゆったり過ごしているのにも関わらず私の心はずっと曇ったままだった。
大きな水槽の中で自由に泳ぐ魚が羨ましかった。
一生水槽の中にいるのに、出れないのに伸び伸びと泳ぐ姿が羨ましかった。
一緒の時間を過ごす度に彼の優しさと誠実に心が救われる。
彼は前の恋愛から沢山の事を学び、考え相手を見ている、私は平然を装って彼についていくのに必死だった。
こんな内情を知ったら、彼はきっと私を恋人として絶対に選ばないだろう。
そして何より彼に恋愛的な感情が全然湧いてこない、この人では無い、二回目まで来て否定したくは無いけど一緒に過ごしていて分かるこの人は違うと。
ここで彼との関係は終わりにしよう、勿体無い気はするが、私にはまだ
『一樹』がいる、もし付き合うなら彼が良い。
なのに事態はいつも急速に変わる。
水族館を出たあと、近くのレストランで夕食を済ませ解散かと思いきや、「行きたい所があるからも少し付き合って欲しい」と言われた。
駅からすこし離れた所だが東京タワーが間近に見える綺麗な公園に私は連れて行かれた。
この時から私の心は何故か察しがついていた。
このロケーションは流石にあれを感じてしまう。
「まだデートをしたのは二回目だから、どうかとは思ってるでも俺ひかるの事良いと思ってる、だから付き合って欲しいな」
告白だった、三回目で告白なんて嘘のとばっちりだ・・・・
心の奥では察しがついていてそこまで驚いてはいない、でも何故か答えに戸惑ってしまった。
彼とはこれ以上ないと決めていたのに・・・・
ここで彼の告白を受け取れば私に彼氏ができる。
しかし三日後には『一樹』とのデートも決まっている、究極の選択だ・・・考えて、考えて出した答えは。
「一旦保留でもいい?もう少し考えたい」
今ここで選択するのは無理だった、今すぐに利益の為だけに彼と付き合う事は出来る、けどそれはどこかダメなんじゃ無いかっていう気持ちにも晒される。
結局私はいつもこうなんだ・・・・
答えは次会う時にすると約束して今日は解散となった。
喉から手が出るほど欲しい存在がすぐ目の前にあるのに・・・私はまた選択を迷ってしまった。
気好に相談しようと思ったが、確実に「そんな気持ちで付き合うのは最低」と言われる自信がありやめた。
信二君に相談する訳にも行かず、結局一人で悩む夜だった。
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