第7話 私はただ『恋』がしたい

『マッチングアプリ』とはシとてもンプルな仕組みで、マッチした相手とひたすら連絡を取り合い、ある程度仲を深めてから実際に会う約束をするのが基本となる。

私は先日マッチした『とわ』『いつき』二人とのやりとりを少しずつ続ける毎日を送っていた。

二人は学生と社会人で連絡のペースも性格もかなり違う。

『とわ』は同い年の学生ということで割と話の守備範囲が同じだし、

連絡のペースも割と早い。

しかし『いつき』は社会人ということもあり、話の守備範囲は違うが代わりにどこか大人の余裕感がメッセージ越しからも伝わってくる。

連絡が返ってくるのは日中は仕事で忙しいのか夜が多い。

二人とも連絡を取り合う今の段階ではかなり好印象で、どちらが先にデートに誘って来てくれるのか私は待っている。

デートに誘われるのを待つ・・・こんな感情にかられるのも初めてかもしれない。

私の今までの人生に『恋愛』という単語は存在してこなかった。

小学校、中学校の頃の私は今見てもはっき言えるがとても『芋』だった。

生まれも育ちも東京の私は常に周りと自分を比べて生きて来てしまった。

「東京の人間はみんな小さい頃からませてて垢抜けている」という田舎者からの言葉は嘘じゃない。

当時、他の人に比べぽっちゃり気味だった私は周りの人と比べて明らかに『不細工』だった。

可愛い子は昔からずっと可愛い、私なんかが努力しても可愛くはなれない・・・そんな劣等感を小学校、中学校という一番無頓着に生きれる時代にずっと持ち続けいた。

そんな私だから恋愛なんて微塵も興味なかった、周りの子が『好きな人』という華奢な話題で盛り上がっていた時でさえ私には理解ができていなかった。

本気で自分を変えようと思ったのは高校に入った頃、東京の高校生はやっぱりみんな可愛い、流行をもれなく吸収して常にみんな自分をアップデートしていた。

だから私もここで本気で自分を磨きたいと思った、自分を変えたらきっと『恋』というみんなが通る甘い感情を理解できる日が来ると思った。

私は死ぬ気で自分磨きに励んだ、友達から色んなコスメやメイクの情報を聞き何パターンも試し自分に一番合うものを探した。

無理のない範囲でダイエットにも取り組み、ぽっちゃり気味だった私の体は気づいたら劇的に変化していた。

丁度その頃だろう、初めて告白された、同じクラスのイケメンの男の子。

「好きです!」初めて人から貰った愛の言葉に私はその時とても感動を覚えた。

でも私はその告白を受けなかった。

あの時の自分の感情は私にもよく分からない、でもきっと私は自分のレベルに満足していなかった。

もっと可愛くなれば、もっといい男が私の前に現れるかもしれない!そんな自分自身の傲慢さに駆られていたのかもしれない。

それから、何人にも告白されたが全て断ってしまった。

あの時、誰か一人でも付き合っていれば私の人生は変わっていたのかもしれない。

そして気づいたら私はここまで来てしまった、大学に入ってからも自分磨きは徹底した。週3でジムに行き、食事や睡眠も友達と遊ぶ日以外はこだわった。

なのに、未だに『恋愛』が分からない自分がい悔しくてたまらなかった。

普通の人でいい、特別金持ちでもイケメンじゃなくてもいい、恋愛映画のような綺麗な出会いなんてなくていい、私はただ『恋』がしたい。

ふと過去の事を思い出して目に涙が浮かんできた頃ある連絡がくる。

「今度会わない?」

『とわ』からの連絡だった。







   

   




 


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