第4話 これ恋愛の本質だからね!

「いつまで恋愛マスター続けるの?」

学食を食べながら小声で気好は私に囁いた。

水原気好(みずはらきこ)は大学で一番仲の良い親友であり、同じゼミにも所属している。

私の『ニセ恋愛マスター』の発言をグループの中で何も言わず聞いてたv気好だが実はこの大学で唯一私の真実を知っている人間だ。

気好と知り合ったのは二年生の時で同じ英語のクラスのペアだった。

彼女はあまり喋らないタイプだが思った事ははっきりと言うそんなまっすぐな性格だ。

気好とは授業外でも何度か遊びに行く様になり、そのときは気を許せる少ない友達だった。

「ひかる、実は恋愛経験ないでしょ?めちゃくちゃホラ吹きじゃん面白いね」

しかしある日の英語の講義の後、彼女は何の前触れもなく私に真実を諭してきた。

「なんで?わかるの?」

「否定しないんだー。私彼氏いるから分かるけど、ひかるの話に出てくる男みんなレベル高すぎー。確かにひかる可愛いからいい男引けるかも知れないけど流石にね・・・まじで世の中そんな甘くないからさ」

「黙ってて、おねがいします・・・何でもするからお願い・・・」

気好に真実がバレた私の頭の中は真っ白で今にも泣きそうだった。

唯一のコンプレックスを暴かれた、恥ずかしすぎる。

「ちょっと泣かないでよ!言わないよ!でもね時には素直になれる人が周りにいたほうがいいよ!」

「わ、わかってる・・・・でももうできあがっちゃててさ・・・」

「私がいるじゃん!私の前では弱弱な磯部ひかるでいなよ!私ひかるの事面白くて好きだからさ!」

「気好・・・・ありがとう・・・」

そんな事があり、今では全てを隠す事なく話せる親友となった。

「卒業まで続けるよ・・・」

「まあ、それはいいや見てて面白いし!でもそろそろ恋人の一人くらいは作りなよ?あ、アプリの人!デート行ったんでしょ?どうだった?」

アプリを最初に勧めてきたのは気好だった。「ひかりにはもうアプリしかないね」と言って私の携帯を奪い強引にアプリを入れた。

気好には付き合って一年半以上の彼氏がいる。

その彼氏との出会いがまさしく『マッチングアプリ』だったらしい。

気好は私よりも過去に恋愛をちゃんとしてきていて。

それでいて今付き合ってる彼氏とも良好な関係を築いている。『恋愛マスター』の名を譲れるなら今すぐ気好にお願いしたいくらいだ。

「ヤリモクだった・・・二軒目の後に私の家に来ようとしてた、最悪」

私はこの前のクズ男とのデートについて話した。

「ひかる!顔で選ぶなって言ったでしょ!」

「分かってるよ・・・でもイケメンとか雰囲気ある人ってレベル高いし期待しちゃうじゃん!」

「恋愛は中身!顔とかは多少妥協してもいいの!いい?『理想』は理想なの!現実では全ては叶わない!これ恋愛の本質だからね」

気好は濃い顔のイケメンがタイプと言っていた、しかし今付き合ってる彼氏は全然そんな事ななく、特別イケメンとは私は感じていない。

気好もそこは理解しているらしい、でも性格がとても気に入ったらしくその人を恋人として選んだらしい。

『理想は理想』そんな事は嫌な程分かってる、分かってるけど・・・・






   

   




 


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