第3話 百パーセント『ヤリモク』だ
「クズ野郎」帰宅後ベットに横になった私は何も躊躇いもなく汚い言葉を吐いた。
私のマッチングアプリでの初めてのデートは最悪の結果を迎えた。
今日マッチした相手は百パーセント『ヤリモク』だ。
『ヤリモク』とは相手との性的行為をするためだけにデートに来るクズ野郎の名称だ。
一軒目は割と普通にしていたくせに、二軒目に入った途端急に「終電やばいかも」とか言い出して、別れの前にも「ひかるさんの家で飲みたいな〜」など気持ち悪いを言葉を吐きながらベタベタしてきた。
なんとか振り払って電車に乗ってひと段落した頃には酔いが覚めてきていて最悪の気分だった。
お酒は強い方でいつも周りの介抱をすることが多い私だが、今日はあえて酔ったふりをして上手く立ち回ろうとしたが結局無理だった。
お酒を飲むと次の日、浮腫やすくて面倒だし。こんな思いをするなら行く必要なんて無かった時間と金を無駄にした。
ヤリモク男の連絡先を消去して、お風呂に入ろうと思ったその瞬間アプリから新しくマッチしたというメールが届く。
正直アプリをやる気は無くなっていたが念の為相手を確認する。
『とは』というニックネームで波巻きパーマをかけた楽しそうな男の写真が目に入る。
まだ、続けよう、もう少しやれば当たりが引けるかも知れない。
私は携帯をそっと閉じて今度こそお風呂に入る。
「ひかる聞いてよ!!」
ゼミが始まる前の教室で私の元に友達が集まりだす。
一人の友達は私の元に駆け寄りすぐに話を始める。
その勢いに駆られたのか他の友達も私の元に集まりミニ女子会が開かれた。
大学三年生になっても女子は集団行動を好む、私は一人でも機敏に行動できるタイプだが、周りからの人望が厚いのか常に周りには誰かいてくれる。
話の内容は当然の様に恋愛相談だった。
彼女が思いを寄せているサークルの先輩とのメッセージのやり取りに不満があるらしく、どうしたらいいか私に聞きたかったらしい。
恋人経験が無い私に何故、アドバイスを求めるのか・・・答えは簡単だ
磯部ひかるは周りから恋愛経験豊富な『恋愛マスター』として讃えられているからだ。
これは全て私が招いた重罪であり責任だ。
大学入学当初から沢山の友達が出来た私は周りから「綺麗」「かわいい」と持ち上げられ気づいたらグループのリーダー的存在として権力を持っていた。
そんな中当然、恋バナが始まりお互いの今と過去を掘り下げる時間がやってくる。
今までに一度も彼氏もいない、恋愛すらした事がない私には地獄の時間で、当然その真実を話したら私の地位はかなり下がる。それだけはなんとしても避けたかった。
「高校時代は三人の人と付き合ったかなー」
気づいたら自分で作り出したデマを周りに喋っていた。
そん一件から恋愛に対する自分の地位を下げない事に必死になり、気づいたら様々な作り話を喋りまくっていた。
残酷な事に『恋愛マスター』磯部ひかるが生まれてしまったのだ。
実際は恋愛未経験のホラ吹き野郎だというのに・・・・
私は恋愛の知識不足をひたすら恋愛映画やインフエンサ―の動画、本を漁りまくり補う事で首の皮一枚つなげて生きている。
「うーんそれはね・・・」
私は彼女にアドバイスをする・・・・恋愛経験無し女の身勝手な言葉だと誰も思わず私の言葉に耳を貸す。
心の奥では深いため息が止まらない・・・・
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