第3話

「蚊がうるさかったから、宝石商の

徳田を殺した、と」

「太陽が照ってたから、ムシャクシャしてやった。

あれっすよ」

左門が頬杖を突きながら言った。

「なるほどな。不条理の世界か」

「そう、おれ文学青年なんでね」

「真似してやった」

「そう」

左門が鼻を穿りだした。

「まあいい、ところでホントの動機が知りたい」

科過が左門の顎を尺って尋ねた。

「だから」

「蚊がうるさかったり太陽が照ってたりしたから

殺してたら、警察がいくつあってもたりねえんだよ」

科過がまた左門を殴りつけた。

「いてえな」

「神経がかよっててよかったな」

「本当に訴えるぞ」

「どこに」

「オマエのかあちゃんに

「おれは独身だ」

「そうだろうな、オマエみたいな変わりもん

おんなにもてるわけねえもんな」

「そっくりそのままおまえにその言葉

お返しするよ」

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