◆赤い魚
ヤミちゃんとはじめて会う前
お昼休みに、ぼく、学校の中
まあ……教室ば
でね。その日は、校舎の上のほうまで行ってみることにしたと。
いつも使う教室やなくって、美術室とか、それこそ理科室とか、そういうのが
スマホで音楽聞きながら、建物のすみっこの、ほとんど誰も使わん階段ば使って、ぼく、五階まで行ったっちゃん。
外はお天気やったけど、特別棟の中は薄暗かった。青いリノリウムの床に、汚れた窓から入ってくる光が
校庭でボール遊びば
なんか、海の中におる
五階には……ええと、まず図書室と、音楽室があって。どっちも誰も
で、プラプラーっと廊下ば回っていったら……そこに、パソコン室があったと。
やっぱり、中には誰もおらんかった。
でもなんでか、そこだけは鍵がかかっとらんかったっちゃん。しかも、扉も半分開けっぱなしで。
やけん、ぼく、ふいっと中ば覗いて
そしたらね。
机に
赤い魚が、いっぱい、いーっぱい。ブワーって、画面の中ば
赤い魚やった。金魚よりも真っ赤で、動くたびにキラッキラッて光ってね。
ぼく、昔一度だけ、お父さんに水族館
それでね。
うわぁ、
パソコンの中で魚ば飼うゲームがあるやろ? なんか、そういうのかなって思ったと。
だけど、そのとき……変やなって
誰かが、ぼくがそこに入ってくるのを
やけん、ぼく、パソコン室の入り口で立ち止まったっちゃん。そのまま、そこで固まっとったら……
水の音がしたと。
蛇口から水が漏れとーみたいな音やった。
見たら、パソコン机のあっちこっちから水滴が垂れて、床に水たまりば
どこから水が
画面のフチから、じわーっと水が漏れてきて、机の下まで垂れて
ぼくがびっくりして見とったら、その勢いが、だんだん激しくなっていってね。
ぴたん……ぴたん……ぴたぴたぴた……ザーッ!!
パソコンの画面っていう画面から、水が一気に出てきたと。もう、バシャバシャバシャーッて。ものすごくたくさんの、赤い魚といっしょに。
もちろん逃げたよ。怖いけん。
水も魚も、パソコン室の外までは追っかけてきたりせんかった。
いつもそこらへんにいるオバケとは、なんか違っとったけん……そのときはまだ、見間違い
パソコン教室の床に水ば撒いたヤツがおる! って怒りよったっちゃん。やけん……本当に何かが
それっきり、特別棟で変なのは見とらんっちゃけど……あれ、
ヤミちゃん、わかる?
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