第1話 にじのかけら 17

二台にだい自転車じてんしゃからはぼうをてて、

そこにおおきなかさをりつけよう。

そうすればあめでもたびつづけられるだろ。


それにもしやすむとしても、

かさをひらいておけば、自転車じてんしゃがぬれずにすむじゃないか。

つぎれたとしても、

びしょぬれのサドルにこしかけなくちゃならないなんて、

いやなものだからね。


それからかさのてっぺんには、それぞれにライトをつけよう。

もちろん自転車じてんしゃ一番いちばんまえうしろにも……」


 こうして、ケンは目新めあたらしいもの

せっけいをかきあげました。

だけではなく、部屋へやなか様子ようすまで、

二人ふたり意見いけんれてじつにこまかくです。


そしてケンは、そのせっけいずうつしをつくると、

イヴとミルクにわたしてくれました。

こうしてケンをかんとくとした、ユニークなものをつくる

プロジェクトがはじまったのです。


 そのよる、ハンモックのなか

せっけいをながめながらケンはおもいました。


(すごいぞ、これは。

きっとぼくのいままでかんがえたアイディアや、

発明はつめいしたものなかで、

一番いちばんすばらしい作品さくひんになるにちがいない。

こんなすてきなチャンスをもらえるなんて、

ぼくはなんてラッキーなんだろう。

だれもがおどろくような、りっぱなものをつくってみせる。

明日あしたからいそがしくなるぞ……)


 せっけいをにぎりしめたまま、

ケンはあれこれかんがえをめぐらせていましたが、

そのうちにうとうととねむってしまいました。

するとまどからのぞく天体てんたいかりが、

ケンのやわらかなをやさしくなでたのでした。




読んでいただき、ありがとうございます。

次回の掲載は2024年6月13日です。

 注意:作者がコメント欄を読むこと、またいかなる場合もコメントへ返信することはございません。読者の方のコミュニティーとして節度ある使用へのご理解に感謝いたします。

 注意:この作品は 『小説家になろう』、『カクヨム』、『Novel days』に、同時掲載しております。

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