イヴとミルクの物語①『にじのぼうけん』全8話

第２話 旅じたく

第２話 旅じたく １

ケンのおかげで、すばらしい乗（の）り物（もの）の図面（ずめん）はでき上（あ）がりました。

次（つぎ）にイヴとミルクがしなくてはならなかったのは、

紙（かみ）の上（うえ）の乗（の）り物（もの）を、

じっさいに乗（の）れる物（もの）につくり上（あ）げることでした。

力（ちから）仕事（しごと）ではケンやダイ、ポチも、

その他（ほか）の森（もり）の友人（ゆうじん）やカフェのお客（きゃく）さん達（たち）も、

みんな二人（ふたり）に協力（きょうりょく）してくれました。

問題（もんだい）は材料（ざいりょう）です。

ケンの生（う）み出（だ）す、すばらしいアイディアの数（かず）かずを

げんじつの物（もの）にするためには、どうしてもたくさんの材料（ざいりょう）が必要（ひつよう）でした。

けれどイヴとミルクには、そんなにお金（かね）がありません。

二人（ふたり）はできるだけお金（かね）をかけずに、

旅（たび）のじゅんびをしなければなりませんでした。

　ところで「かわいい犬（いぬ）のお店（みせ）」は、

犬（いぬ）や森（もり）に住（す）む妖精（ようせい）や、

小鬼（こおに）達（たち）に人気（にんき）でしたが、同（おな）じように鳥達（とりたち）にも人気（にんき）がありました。

けれどもそれは、本物（ほんもの）の店（みせ）の方（ほう）ではありません。

鳥達（とりたち）が通（かよ）うのは、二人（ふたり）の家（うち）のうらてにある、

プライベートの庭（にわ）の方（ほう）でした。

　イヴとミルクの庭（にわ）は、しばふでおおわれた気持（きも）ちのいいもので、

庭（にわ）を囲（かこ）むように様（さま）ざまな木（き）が

ちょうどいい具合（ぐあい）に植（う）わっていました。

イヴとミルクは、店（みせ）であまったパンや残（のこ）り物（もの）などを

いつも庭（にわ）の木（き）のかたすみにすてていました。

なのでそこは鳥達（とりたち）が気持（きも）ちのいい小（こ）えだにとまって、

何（なに）か食（た）べながらぺちゃくちゃおしゃべりをするのには、

またとない場所（ばしょ）なのでした。

また庭（にわ）のかたすみには、かけたかわいらしいはちがすててあって、

そこにはたいてい水（みず）がたまっていました。

鳥達（とりたち）は暑（あつ）い日（ひ）の午後（ごご）、

庭（にわ）で水浴（みずあ）びをすることもできたのでした。

イヴとミルクも、庭（にわ）に遊（あそ）びに来（く）る鳥達（とりたち）を

好（す）きなようにほうっておきました。

ですからこの庭（にわ）は、鳥達（とりたち）には「私達（わたしたち）のカフェ」とよばれて、

大変（たいへん）人気（にんき）がありました。

読んでいただき、ありがとうございます。

次回の掲載は２０２４年６月１７日です。

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