おまけ①
第30話 休日さんを満喫するよ!
フンフンフ~フ、フンフンフンフン♪
大きな鏡の前に立つ私。
「んっと、よし! 準備完了かな」
恰好よーし、寝ぐせさんもよーし。
サンドイッチさんもあるし、忘れ物はなし
んっ、とんがり帽子さん装着。
私、今日もキマってるね。
んじゃ行こうかな。
ガタッ
屋敷を出る途中、
「あっ、門番さん。こんにちは~」
お勤めご苦労だよ。
フリフリ
こうするといつも笑顔で手を振り返してくれる。
相変わらず良い門番さんだね。
ビュンッ! ビュンビュンッ!
知らない鳥さんが元気に飛んでるね。
ピカッ
うっ、日差しさんまぶしい。
そうやって出たばかりの私を照らさないでほしいな。
でも晴れてよかったよ。
──今日のお仕事はお休み。
だから自由さん。
こうやって外に出て羽を伸ばしてるんだ。
事務所に行ってもちゃんと閉まってるよ。
やっとまともな休みを貰えたんだ。
ほらっ、近頃ずっとお休みなしの働きづめだったから流石にね。
久しぶりの休日さんを満喫するよ!
「さてと、まずは何か食べようかな」
今はお昼前。
行くとこは特に決まってないけど、どこかで腹ごしらえしたいところ。
う~ん、どこがいいな~。
チラッ
『蛇食専門店~ワイルドスネーク~』
「あっ!」
あのお店。
最近出来たばかりの新しいお店だ。
散歩がてらチェックしてたヤツ。
「気になってたし、入ってみようかな」
ヘビさんか~。
サバイバルとかでは良く食べてる印象だし、意外とヘルシーそう。
ちょっとアレな気もしなくもないけど、意外と評判も悪くないらしい。
ギルドの口コミで見かけたよ。
あと私って、案外ゲテモノさんもイケる口なんだ。
食べるのは大好きだけど、別にグルメってワケじゃないからね。
よっぽどじゃない限り大丈夫だよ。
「はえ~、ヘビさんのステーキか……」
どんな味なんだろう。
決めた。
こういう日じゃないと食べられないよね。
んじゃ、入店するよ。
チリン、チリン
そして、
──ありがとうございやしたー!
バタンッ
「うぷ……」
ご、ごちそうさまだよ。
うぅ、あんまり美味しくなかった。
淡白な味わいで最初の方は良いかなって思ったんだけど、なんか後からだんだん生臭さの方が……
食感もなんかコリコリして変だったし。
あれお店で出して大丈夫なのかな。
ギルドでは結構評判が良いらしいけど。
グルメぶった誰かさんのレビューが1人歩きでもしたのかな?
まあ、いいよ。
マイナー食なんてこんなモノだよね。
何だかんだ言って食べ応えは満載だった。
私は食に関しては寛大だから、感想はこれくらいにしておくよ。
んっ、一応全部食べたけど、まだ食感と味が残ってる。
なにかでお口直ししたいな。
「むっ、ここは!」
屋台さんがたくさんある。
商店街の露店エリアだ。
不思議だよ、いつの間にかこんなところに来てた。
賑わってるね。
ルルル~
なんだか良い匂いがしてきたよ~
あっ、食欲さんがまた。
「おじさん、それ2本ほしいな」
さっそく焼き鳥さん。
なんの鳥さんかは知らない。
「そのレモン味のヤツください」
かき氷さん。
この街限定のレモン味。
「りんご飴? なにかな?」
新商品かな。
とりあえず保護しておくよ。
「お面は……別にいいかな」
いらない、ポイッ
アレも気になるな。
あっ、こっちも、あっちも。
サッ、サッ
──そして、
芝生さんに、ポスッ
「フフッ、いっぱい買っちゃった」
はあ、気になるのモノが多すぎだよ。
一度立ち寄ったらアレもコレもって、止まらなくなっちゃうな。
今度から近寄らない方がいいかも。
あっ、もちろんここに来る途中で全部食べたよ。
我慢できなかったし。
言わせないでほしいな。
ここは私のお気に入りの芝生さん。
色々歩いて疲れたから、ここで休んでる。
今は持ってきたサンドイッチさんを食べてるよ。
モグモグ
自然に溢れてて人が滅多に来ない。
落ち着くには申し分のない場所だ。
私だけ知ってる良スポットだから、みんなには内緒にしてほしいな。
「はあ」
ゴロンッ
やっと落ち着ける。
こうやって仕事のことも考えずのんびりできるのは久しぶりだな。
好きなだけ食べて、のんびりして、自由さんを謳歌する。
こんな贅沢なことってないよ。
そよ風さんが心地良い。
自然さんと一体化してるような。
私、こうやって何もしてない時間が案外好きっだったり。
ミホちゃんにはよく感性がおばあちゃんってからかわれるけど、こういう風流な感じ?
そういうのを楽しめるのって現代では中々お徳なことだと思う。
気持ちがクリアなるというか、心に余裕が生まれるというか。
よく分からないけどお肌とかに良さそう。
それに、こうしてるとね、
チュンチュン
ほらっ、小鳥さんが集まってくる。
首をカクカクしてて可愛いね。
みんなもここでのんびりしたいのかな。
ほらっ、見てほしいな。
小鳥さんたちはこんなにも無警戒。
私のことをお友だちと思ってる。
うん、私もだよ。
ここにはよく来てるから、みんなとはすっかり仲良しさん。
メイルくんで言う妖精さんかな。
チュンチュン
小鳥さん。
一緒にお昼寝しようね。
……さて、
ムクリ
食って寝るだといつもと変わらないから、そろそろ出発するよ。
またね、小鳥さん。
今度エサとか持ってくるよ。
──そして、
「う~ん、ちょっと微妙かな~」
スッ
黒いとんがり帽子さんを試着。
見た感じ良さげだったけど、被り心地があんまり。
私の頭には合わないな。
これなら今のヤツでいいかも。
あっ、今はお洋服屋さんにいるよ。
特に用があるってワケじゃないんだけど、ほらっ、私って魔術師だから。
ちょっと帽子さんとか見てみたいなって。
でもあんまり良いのがないんだ。
私の頭に似合う帽子さんはここにはいないみたい。
お値段も結構するし。
やめとこ。
「──お客様。帽子をお探しで?」
サッ
むっ、いま私帰ろうと思ってたんだけど。
ダンディなおじさんに絡まれた。
風貌からしてここの店主さんかな。
「そうだけど、あんまり良いのないね」
もっと品揃え良くしてほしいな。
「ほう、そうですか。当店ではどれも最高級のモノを取り扱いしております。しかしお気に召しませんか」
「うん、もうちょっと安ければ考えてあげてもいいんだけど」
この値段じゃね。
誰も買わないと思うな。
質重視なのも良いけど、色々と仇になってる
「でしたら、こちらのお召し物などはいかがでしょう。あなたのようなお嬢様にピッタリです」
ん?
全体的にピンク色多め。
フリフリやリボンがたくさんあって、まるでお姫様みたい。
「当店自慢の一品でございます」
いや、なに紹介してくれてるのかな。
それゴスロリ服だよ。
「興味ないよ」
派手すぎるし年齢的にキツい。
このおじさん、私にどういうイメージを持ってるのかな。
入るお店を間違えたみたい。
もう帰る。
失礼しちゃうよ、フンッ
「おっと、これは失礼。なるほど、でしたら……」
パチンッ
「こちらなどはいかがでしょう」
ん?
奥から勝手に出てきた。
これって……
「メガネ?」
「はい、当店一押しの最新商品でございます」
「えっ、でもこれレンズが真っ黒だよ。これでどうやって前を見るのかな」
視界が良くなるどころかむしろ悪くなる。
ハッキリ言ってバカなんじゃないかな。
「でしたらどうぞ、試し掛けを」
実際に手にとってみろだって。
あんまり気が進まないけど、
スッ
「んっ、意外とよく視えるね」
全体的に茶色がかってるけど普通によく視える。
思ったより悪くないかも。
「このレンズは非常に優れモノでして、日の光から目を守る働きがあります。外行きには大変重宝しますよ」
はえ~、そんな効果があるのか。
ただ黒いだけなのに不思議だね。
たしかにこの薄っすらと暗い感じは目の負担が軽そう。
「どうでしょうか? あなたのような落ち着いた女性にピッタリかと」
「う~ん、たしかに。一理あるよ」
デザイン的にも悪くない。
ミホちゃんみたいに地味過ぎない。
かと言ってフェチョナルさんみたいに派手過ぎない。
私好みの落ち着いた感じ。
うん。
「決めたよ。これ貰おうかな」
買うよ、このメガネ。
「ありがとうございます。ではお値段の方ですが」
ゴニョニョゴニョ
お金の話は内密に。
気にしないでほしいな。
「ちょっと高いね」
買えないワケじゃないけど、やっぱりお値段するよ。
「どうしようかな」
悩ましいな。
「でしたら、このようなプランはいかがでしょうか?」
「んっ、なにかな?」
「それはですね……」
ゴニョゴニョゴニョ
──翌日、事務所。
チリン、チリン
「おっはよ~う!」
メイルくん、ロザリアさん。
今日も1日お仕事頑張ろうね。
「ミチル、おは……プッ、なにそれ?」
「何やら雰囲気がいつもと違いますね」
フフフッ
2人とも、さっそく気づいたようだね。
クイッ
「最新のメガネさんだよ。日の光をカットできる優れモノなんだ」
すごいよね。
「でもミチル、なんか違和感すごい」
んっ?
「はい。どこぞの闇組織みたいです」
「言っちゃなんだけどかなり変。ここに来る途中、みんなに見られなかった?」
そうかな?
結構イケてると思うけど。
「あっ、2人の分もあるよ!」
今なら2つ購入したら、もれなくもう1個ついてくる。
これはもう買うしかないよね。
「みんなでお揃いだよ」
「いや、僕は別に……」
「そう言わずに、ねっ? 結構お値段もしたんだから」
せっかくだし。
「それ、思いっきり騙されてない? 僕心配になってきたんだけど」
「その怪しげな色、呪いの掛かった呪具である可能性も」
2人ともあからさまに嫌がってるね。
過剰警戒さんもいいところだよ。
でも、
「お願いだよメイルくん、つけてほしいな」
絶対似合うと思う。
「一度だけでいいから」
つけたら分かるよ。
だから、
「生憎そのような泣き脅しは──」
「そこまで言うなら、まあ」
「メイル様」
スッ
「へえ、意外と悪くない」
「ええ。この暗さがかえって落ち着きます」
だよね。
2人とも好評。
購入した甲斐があるってもんだよ。
「わっ、ローズ怖い。ははっ、似合ってる似合ってる」
「メイル様こそ。ひねくれた感じがより引き立っています」
でもたしかに。
2人ともちょっと悪人さんみたいになってる。
特にメイルくんなんて……フフッ
子どもには似合わないんじゃないかな?
「これいいね。ありがとうミチル。ありがたく貰っておくよ」
「上に同じく」
「うん、どういたしましてだよ」
はあ、良かった。
「あっ、そうだメイルくん。何なら今度外出する時に──」
チリン、チリン
──ごめんくださ〜い……あっ
あっ……
──ま、間違えました、すみません
バタン
「……仕事中は控えた方が良さそう」
「だね、メイルくん」
ごめんだよ。
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