大文字伝子が行く262

クライングフリーマン

聞こえない音を『聴く力』

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。

 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 夏目房之助警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。

 原田正三・・・警視庁警部。新宿署からのEITO出向。


 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

 馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

 高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。EITOボーイズに参加。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 青山(江南)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。青山たかしと結婚した。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 高坂(飯星)満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。高坂看護官と結婚した。

 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。

 西部(早乙女)愛・・・元警視庁からの出向。今は、非常勤(EITO準隊員)

 西部才蔵警部補・・・高速エリア署勤務。EITO「片づけ隊」班長。

 久保田誠・・・警視庁警部補。あつこの夫。

 橋爪警部補・・・丸髷署生活安全課刑事。


 中津警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。

 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。

 中津(西園寺)公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。

 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。

 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。

 根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。


 天童晃(ひかる)・・・かつて、公民館で伝子と対決した剣士の1人で、EITO東京本部武術師範。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。

 藤井康子・・・伝子の区切り隣の住人。モールで料理教室を開いている。EITO準隊員待遇。


 市橋早苗・・・移民党総裁。内閣総理大臣。

 高見敬一・・・厚労省大臣。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==


 午前9時。EITO東京本部。会議室。

 ピースクラッカーが期限を切った次の日。

「豊胸とはねえ。『女性の豊満でふっくらした胸』のことだが・・・。」

 理事官が言いかけると、「原田!何で私の胸を見る?私は亭主持ちだぞ!!」と、伝子は原田を一喝した。

 実は、原田だけでなく、他の『男子』も見ていたのだが、伝子が言う一瞬前に『自制心』で目を反らせていた。

「え?」「そりゃ、いかんだろ。セクハラですよね、理事官。」「そうだな。今日は煎餅あげない。」

 皆、爆笑してしまった。

「確かに、妊娠してから、大きくなったけどな。ピースクラッカーが私を指して言ったかどうか・・・アナグラムだろ?今、『うちの旦那』が解いてるよ。」

 伝子が、そう言って1分と経たないうちに、マルチディスプレイに高遠が映った。

「お待たせしました。あれ?みんな、和んでる?ああ、『ピルと足す豊胸』ね。確かに伝子は豊胸だよ。巨乳とかメロンとか言う人もいるけどね。今、Eカップだし。」

「こら。個人情報を漏らすんじゃない。」と、伝子は怒ったが、本気で無いことは皆知っている。

「でもね、コンティニューが情報を間引きしてくれたお陰で、敵に渡っている情報は限られている。伝子の名前だけでなく、体の特徴の情報が渡っていても、おかしくはない。あ、そのアナグラムだけど、『東京ホスピタル』だと思う。どう絞り込むかが問題だけどね。それで、僕の方で調べたリストを送ったから、草薙さん、出してみて下さい。」

 草薙は、司令室からリストを画面に出した。

「東京ホスピタルって病院は、勿論ありません。東京のホスピタルって考えると、普通は東京駅周辺か、空港周辺かって、東京湾周辺かって連想しますけど、東京都区内に絞ってみました。左側が『区名と同じ名前が病院名の一部にある病院』です。右側は、それ以外。全て都立病院です。左側が19軒、右側が4軒。東京都下は省いていい、と思います。動画に『間』があったこと、気づきました?以前、そういうことありましたよね?本郷さんに頼んで調べて貰いました。『隠し音声』には、『日時は後日。『おくない』の方がいいかなあ。』です。」

 高遠の話に、「それで、『都区内』かあ。でも、何で?」と原田はセクハラの嫌疑を忘れて発言した。

「じゃ、初めから、『絶対解けないだろうアナグラム』は用意しなかった、ということか、高遠。」と、今度は筒井が言った。

「あの自信たっぷりの言い方から考えると、毎回アナグラム出して来そうですよね。『絶対解けないだろうアナグラム』は用意しないんじゃないんですか?」と馬場が言うと、「いや、『大体は』高遠さんやひかる君が解いてるから、ね。気がつかないよだとヒントを出す積もりじゃないんだろうか?」と青山が言った。

「私も、何となく、今度の『幹』は紳士的みたいな気がします。」と高木が言った。

「紳士的かどうかは予断を許さないが、青山説も一理ある。詰まり、追加のヒントだが。それと、具体的な病院名を出さないで、アナグラムを用意しているのは、マスコミと一般人の野次馬対策かも知れないな。」と、夏目警視正は言った。

「それで、どうするね、大文字君。」と、理事官が尋ねた。

「19軒は、警察の警邏とSATに任せましょう。私達は4軒に集中。私は、『銃火器』の持ち込みすると思います。コンティニューが情報制限してくれたお陰で、以降の『幹』は2回目以降に銃火器を用いないケースが多いです。詰まり、『学習』してから、銃火器なしでの闘い。初戦だから、あり、です。ああ、それと、学とも話したんですが、『壊し屋』なら、ピースクラッシャーの方が相応しい。和製英語ですね。」

「じゃ、おねえさま。水流ガンやフリーズガンは必須ね。班分けしていいかしら?」「ダメだ、とは言えないな。偶然『猶予』が出来たからな。班分けは、4つの病院以外に東京都庁、総理と厚労省大臣も入れてくれ。」「了解しました。」

 伝子はすぐに、総理と都知事に連絡をした。

「医療体制を麻痺させる作戦ね。それで、厚労省大臣も習われる、と。分かりました。大臣には私から伝えましょう。」と、総理は快諾した。

「医療体制を麻痺、いえ、崩壊だわ。下手をすると。分かりました。病院には、いざと言うときの避難体制を指示しておきます。期待しているわ、大文字さん。」「ありがとうございます。」

「今、警邏とSATに連絡させた。日時が決まり次第連絡する、とも言い添えて。」と、理事官は言った。

 午前11時。

 司令室から、渡の声がスピーカーから流れた。

「ピースクラッカーから、Base book内の動画でメッセージが出ました。そちらに出します。」

「ん?声が後から、くるよ。タイミングですが。初めてだし、迷っています。あ、今日は日曜日だし。」

 画面では、ピースクラッカーが、やたらコーヒーカップに小さいミルクピッチャーでミルクを注いでいる。動画は短く再生され、終った。リール動画だ。

「これだけ?」と、皆が異口同音で言った。

 ざわざわしていると、今度は、草薙が、司令室から「大前さんから入電です。そちらに切り替えます。とスピーカーを通じて言ってきた。

「理事官。伝子さん。Base bookを観ました?」「今、観ました。」「コーヒーカップの前にミルクピッチャーが並んでいたでしょ。総子が『フレッシュ』って言いたいんちゃうか?って言うんです。関西では、あれのこと、『フレッシュ』って言うんですわ。『初めて』とも言ってみましたね。」

「入学式や入社式のことですか?」と、伝子は大前に尋ねたが、横から早乙女が「理事官。小中学校の入学式は、明日4月8日、月曜日です。『今日は日曜日だし』と言ったのもヒントだと思います。入学式は午後1時からが多いです。」

「その通り。」「今、高遠さんが指摘した『間』があったことと、声が後からとかいう、芸人のギャグみたいなことを言っていたので、また解析してみました。電子音ですが、意味は分かります。」

『関西への修学旅行楽しかったな』

「総子と大前さんのカンは当たっていたな。こじつけだが、『明日』を強調したかったと思います。理事官。バトル決行の日時は、明日午後1時でしょう。」と、伝子は言い。スマホを出した。

「河野君。警視庁警邏各位に、明日午後1時頃・・・。」

 翌日。午後1時。港区。みらいのマチ病院。

 院長と打ち合わせをした、なぎさは、中庭に出た。

 拳銃や機関銃を持った男達とエマージェンシーガールズが対峙していた。

「おねえさまほど、パイは大きくないけど、勘弁ね。」

 午後1時。総理私邸。

 書斎に、市橋総理と高見敬一厚労省大臣が椅子に座っていた。

「こんにちは。」総理は、珍客である5人の男に驚かなかった。

 いつの間にか総理担当になった、早乙女と工藤がすぐに飛び出たからだ。

 午後1時。新宿区。元歌舞伎病院。

 院長と打ち合わせをした、あつこは、中庭に出た。

 拳銃や機関銃を持った男達とエマージェンシーガールズが対峙していた。

「ワンパターンね。昼食後の腹ゴナシになるかしら?」

 午後1時。新宿区。都庁。都知事執務室。

「お邪魔しますよ。」と入って来た、男達に、「確かにな。」と言って、SATの守谷ほかSAT隊員が隣の部屋から出てきた。

 執務室は改造され、隣に『準備室』が出来、守谷達は、そこで待機していた。

 午後1時。渋谷区。Aparco病院。

 院長と打ち合わせをした日向は、Aparco通りにトラックが止まり、男達が降りるのを見た。人々は、エマージェンシーガールズが誘導するまでもなく、四散した。

「初めまして。でも、すぐお別れね。」と、日向は男達に投げキッスをした。

 午後1時。練馬区。セイントホース病院。

 院長と打ち合わせをして、外に出たあかりは、異様な女の集団を見た。

 シスターである。だが、皆機関銃を持っている。

「映画の見過ぎね。懲らしめてあげるわ。覚悟なさい。」と、あかりは増田に合図を送った。

 午後1時半。港区。みらいのマチ病院。

 なぎさは、ブーメランを跳ばしながら、金森、結城、大空、小坂に命じて、フリーズガン、水流ガンで敵を翻弄することを命じた。フリーズガンとは冷凍銃のことで、水流ガンとは、撃つとグミ状に変わる水が出る銃のことである。

 高木がホバーバイクで応援に駆けつけた。ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』であり、EITOが採用して、移動や攻撃をするバイクである。

 午後1時半。総理私邸。

 早乙女と工藤は『素手』で暴漢を抑え込んでいた。

「相変わらず、早業ね。」総理と厚労相は握手を2人に求めた。

 SP隊がやって来て、暴漢は連行された。

 午後1時半。新宿区。元歌舞伎病院。

 あつこは、ブーメランを跳ばしながら、馬越、稲森、江南、財前に命じて、フリーズガン、水流ガンで敵を翻弄することを命じた。

 青山がホバーバイクで応援に駆けつけた。

 青山は、ペッパーガンで拳銃や機関銃に撃ちながら、突っ込んで行った。

 ペッパーガンとは、胡椒や調味料を原料にした丸薬弾を撃つ銃である。

 青山のホバーバイクはハープーン(銛)で、リーダー格の男を病院の壁に追い詰めた。

 午後1時半。。新宿区。都庁。都知事執務室。

 SAT隊員は、警官隊と共に、男達を連行した。

 午後1時半。渋谷区。Aparco病院。

 高峰の会社の警備員と渋谷署から駆けつけた警官隊は、避難誘導に成功した。

 日向は、シューターを跳ばしながら、大町、静音、葉月、仁礼に命じて、フリーズガン、水流ガンで敵を翻弄することを命じた。シューターとは、うろこ形の手裏剣で、先端に痺れ薬が塗ってある。

 馬場のホバーバイクがやって来て、ホバーバイク上から複数のドローンを飛ばした。

 ドローンは、目的エリアに達すると、プログラムによって、『紙吹雪』を撒き散らかした。

 午後1時半。練馬区。セイントホース病院。

 あかりは、シューターを跳ばしながら、増田、伊知地、越後、七尾に命じて、フリーズガン、水流ガンで敵を翻弄することを命じた。

 筒井が、ホバーバイクで現れた。「ここだけ、『くノ一』かよ。」

「じゃ、援護してくれ。」と、後ろの伝子は言い、飛び降りた。

 拳銃や機関銃を向けて来た、集団の一部の『くノ一』に向けて、伝子は手榴弾を投げた。

 実は、手榴弾に似せた『胡椒弾』だった。これは、丸薬弾より大きい。何より、手榴弾と思えば、逃げ回る。

 筒井は、シューターで伝子の援護をした。伝子は、走りながら、背中の『チタン剣』を抜刀した。

 午後1時半。テレビ1。あるスタジオ。

 入社式が行われていた。伝子が利根川に確認して貰ったところ、今年の入社式は4月8日。午後1時開始だった。

 機関銃は持っていないが、火炎放射器を持った男達がスタッフや新入社員を脅していた。

「そこまでだ!」と言って、天童が竹刀を持って現れた。念の為、般若の面を被っている。

 男達が気を取られた隙に、田坂、安藤、浜田が弓矢を男達に放った。

 飯星は、「こっちだ!」と言って、スタジオの隅に固まった人々を避難誘導した。利根川が現れ、飯星から誘導を引き継いだ。

 火炎放射器や拳銃が無効化されたのを知ると、男達は、天童や田坂達にナイフで襲いかかった。

 飯星は、ニードロップやフライングボディーシザーズで倒した。田坂達は天童に助けて貰いながら、バトルスティックで倒して行った。

 午後3時。

 田坂は、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た通信機で、この場合は、『現場平定終了』を意味する。間もなく、西部警部補が率いる『片づけ隊』がやって来た。『片づけ隊』とは、エマージェンシーガールズが闘った後、暴漢達を逮捕連行する警官隊のことである。

 午後3時。港区。みらいのマチ病院。

 なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。

「原田君。『怪しい人影』は?」「数カ所にいました。後で、動画を確認します。」

 原田は、普段の闘いなら、ホバーバイクで移動しながら、撮影をするのだが、今回は町中の戦闘が多いので、米軍の協力で衛生カメラで戦闘地周辺を撮影、オスプレイの中で、送られて来た映像をチェックしていた。

 間もなく、新里警視が『片づけ隊』を引き連れてやって来た。新里は、なぎさに、ニッと笑った。

 午後3時。総理私邸。

 早乙女達は、もう引き上げていた。

「凄いですね。戦力も凄いが、どうして狙うターゲットを絞り込んだんですかね?」

「高見さん。『企業秘密』よ。」と、総理はウインクをした。

「セキュリティークリアランスですね。」「そういうこと。」

 午後3時。新宿区。元歌舞伎病院。

 あつこは、長波ホイッスルを吹いた。

 間もなく、愛宕警部率いる『片づけ隊』がやって来た。

「あっちも終ったらしいですよ、警視。」と、愛宕は、早乙女達のことを言った。

「そう。良かったわ。もう、専属ね。」

 午後3時。新宿区。都庁。都知事執務室。

 都知事御池は、いつもと変わらぬ表情で、何事も無かったかのように、副知事と打ち合わせをしていた。」

 午後3時。渋谷区。Aparco病院。

 日向は長波ホイッスルを吹いた。「紙吹雪はいいけど、掃除が大変ね。」と、大町が言うと、「窪内組と遠山組がバキュームカーで掃除しに来るそうよ。あ。トイレのくみ取り用とは違うわよ。」と日向は言い、にっこり笑った。久保田警部補が『片づけ隊』を連れてやって来た。

 午後3時。練馬区。セイントホース病院。

 あかりは、長波ホイッスルを吹いた。

 近寄って来た伝子に「おね・・・隊長、ご苦労様です。」と、言った。

 筒井も近寄って来て、インカムの『内線』で、「大文字。やはり、見張り役がいたらしい。お前、現場来ない方が良かったんじゃないのか?『豊胸』目立つぞ。」と言った。

「一言多いぞ。そのために、みちるの『手下』に命じてパットを用意させたんだよ。」

 伝子は、そっと、筒井の尻を蹴った。

 午後3時。テレビ1。スタジオ。

 暴漢が『片付いた』後は、いつもと変わらぬスタジオだった。利根川は、スタッフと打ち合わせを始めた。

 午後3時。EITO東京本部。司令室。

「また、白藤の『手下』が役に立ったか。そろそろ、現場復帰・・・という訳にもいかんな。出産までは。」と、理事官は、夏目警視正に言った。

「そうですね。それも『闘い』の一つですね。」

 午後3時。伝子のマンション。

 インカムを着けて、EITO用のPCから繋がるディスプレイに向かっていた、高遠は、フウっと息をついた。

「婿殿。昆布茶にする?」と、綾子は言い、藤井と笑った。

 午後3時。中津興信所。

 中津健二は、兄の中津警部から、闘いの進捗を聞いていた。

 所員達と、本庄弁護士は、安堵の息を漏らした。

「まずは第一戦か。高崎。何か分かったか?」中津が尋ねると、「どこの学生でもない。それが結論です。わざわざ姿をさらしていますからね。自信があるんでしょう。」

「了解。今日は、駅前のうどん屋にしよう。」と、中津は言い、皆の反応を見た。

「クーポン券は消化しなくちゃな。」

 ―完―


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