第6話 りりな、勇者に連れ去られる
①
「ちょ〜っと話がある。」
トレードマークの黒髪を蒸発させられたツーブロック勇者の一行は有無を言わさずりりなを王城に連れ去った。
父やとしろう、常連客は勇者相手に何もできなかった。後刻みんなで王城にリリなの減刑を願う陳情に行く算段を始めていた。
りりなは今度こそ「オワタ、ワタシ」と覚悟を決めた。
②
王城に向かう馬車の中でりりなは完全に固まっていた。
向かいにツーブロック勇者と丸坊主の僧侶、両脇には精霊使いと魔法使いが座り、誰も一言も話さなかった。
そうしている間に馬車は王城に到着する。
迎えに出た左大臣は開口1番
「おお!勇者どの、念願の散髪が成ったようでございますな!よくお似合いでございますぞ。」左大臣は自分の刈り上げツーブロックを撫でながら心からの祝辞を述べた。なにせ王国の今の流行の髪型は刈り上げツーブロックなのである。当然の反応であった。
③
「おお、左大臣どの、礼を申し上げる、長年の悲願であった散髪、このように成った、嬉しく思う。それもこのりりなのおかげである。」
「おお、やはり、リリなの手によるものであったか、私の頭を当たってもらったのもりりなであった、その節は世話になった。」
「滅相もございません、その節は稚拙な私の施術で申し訳ございません。」
りりなは恐縮して頭を下げる。
「実はりりなのことで王に謁見を申し入れたいのだが。」「かしこまりました、手配いたしましょう。」
④
「お人払いを」
ツーブロック勇者が願いでると王と左大臣、勇者一向とりりなだけになった。
「実はこのりりなを私の専属理容師として魔王討伐に同行させたいのです。」
こうしてりりなは勇者一行の専属理容師として魔王の元へ向かうことになってしまったのであった。
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