第4話 りりな、魔王軍幹部を刈り上げる

 王国は存亡の危機に直面していた。

 魔王軍が世界征服を目指して各地に侵攻したのである。


 りりなの王国も例外ではなく魔王軍幹部、四天王と呼ばれる魔人レオダニアスによって王国軍は散々に蹴散らされ、王国はあっという間に占領下に置かれた。

 魔人レオダニアスは冷酷無情で王国民をいたぶるように殺していると聞く。

 最近では王国の理容師を何人も連れてきては散髪させようとし、失敗すればその場で殺した。味をしめたレオダニアスは理容師殺しがマイブームのようになっていた。

 もともと肌は鋼鉄より硬く、髪はピアノ線より強靭な魔人である、一般の理容師など手も足も出なかった。何人もの王国理容師が殺されてしまった。


 ①

 「おい、もう少し面白みのある理容師はおらんのか?そろそろ飽きてきたぞ。」

 魔人レオダニアスは側近に尋ねる。


 「それでは女の理容師などいかがでしょう?まだうら若い見習い理容師がパフォーマンスのようなことをしていると聞きます。面白そうではありませんか?」


 「若い女か、面白い、そいつにやらせろ、失敗したらなぶり殺しにするのも楽しそうだ。」


 ②

 りりなは魔人レオダニアスの前に引き出される。

 「そちが理容師りりなか?」


 「は、はい、未熟者ですが一生懸命やらせてもらいます。」

 「うむ、失敗したら命はないぞ、わかっておるな。」

 「は、はい全力を尽くします。」


 ③

 りりなは血の気が引いていた。

 わたし死ぬんだわ。

 

 そう直感していた。緊張のあまり頭が真っ白になり手順も何もすっとんでいた。


 「そ、それでは始めます、刈り上げちゃってもいいですかぁ!!!!」


 自分でもびっくりするくらいの声量でいつもの口上を叫んだ。


 「わっーはっはっは!面白いのう、好きにしろ。」


 「え、エクスプロージョン!」


 ④

 魔人レオダニアスの首から上は跡形もなく蒸発していた。

 りりなは魔人の頭に防御魔法をかけるのをすっかり忘れていたからである。

 魔人の首を蒸発させるプラズマである。

 周りの側近全員も跡形もなく蒸発していた。


 「えっと、刈り上げ、ちゃんとできたようなのでこれで失礼しますね。」


 りりなは扉のあったあたりでちょこんとお辞儀をして家に帰った。

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