第4話 変転

四 変転


 家に帰ると美咲が出迎える。

「兄貴、もしかして今日も由衣と会ったりしてた?」

「どうして?」

「最近、由衣、放課後予定があるって言ってすぐに帰ることが多いから‥‥‥」

「いや、僕は知らないな。近いうちにまた会うかもしれないけど」

「ならいいけど、由衣、彼がいるんだから、口説こうとか思わないでね」

「大丈夫だよ。そんなことしないから‥‥‥」



 その晩、由衣からメッセージが届く。

「今日は最高に興奮して幸せでした。次は来週水曜日はどうでしょうか。同じ時間くらいにウチで」

「大丈夫だよ」

「できたらでいいんですけど、何日か前からペニスを洗わないでもわうわけにはいきませんか」

「え?」

「鼻が曲がるくらい臭いペニスの匂いを嗅いでみたいんです。無理ならいいですが」

「わかった、望むところだよ」

「僕からもリクエストするね。次会うまで、お互いにオナニーを我慢しないか。もうしたくてたまらなくなるくらいまで我慢するんだ」

「そんなに何日も我慢したことがないですが、頑張ってみます」

「では水曜日に」


 週明けの月曜日

 ランチタイムの美咲のクラス。三人でお弁当を食べている

 美咲が心配そうに由衣に問いかける。

「ねえ、由衣、最近、飯田くんとデートしてる?」

「このところ忙しくってできてない」

「先週も放課後いつも予定がある感じですぐに帰ってるけど、なんかあったの?」

「いや、別にないけど」

「ウチの兄貴と会ったでしょ」

「うん、美大進学考えてて、大学のこと聞いたの」

「兄貴、今週も会うかも、って言ってたけど、そんなに何回も聞くことあるの? もしかして由衣、兄貴となんか変な関係とかじゃないよね」

「そんなことないよ。私飯田くんがいるから‥‥‥」

「だったらいいけど、でもまた会うんでしょ」

「うん、描いているイラスト見てもらって意見もらいたくって」

「兄貴、悪いやつじゃないけど、いいかげんなとこあるから、あんまり参考にならないと思うよ」

「そんなことない、やっぱり現役で入った人は違うよ。だからアドバイスもらいたくって」

「それならいいけど‥‥‥」

「でも由衣、最近すごく女っぽくなったっていうか大人っぽくなった気がする。飯田くんと初体験したわけじゃないよね?」と加奈が突っ込む。

「え、全然まだだよ。まだバージンのまま」

「そっか、なんかこういう変化って、女になったり性に目覚めたりする時っぽい感じだから、卒業したのかなって思っちゃった」

「加奈みたいな大人になるの、あこがれたりはあるけど‥‥‥」

「まあ急ぐことはないよ。飯田くん草食系みたいだし」

「あ〜あ、私も彼氏ほしいな〜」とため息をつく美咲。

「あんたはブラコン脱却しないとね」と美咲に突っ込む加奈。

「美咲はホントにお兄さんのこと好きなの?」

 真顔で聞く由衣に加奈が横から口を挟む。

「そうだよ〜、だからさっきも由衣にお兄さんのことで絡んでたじゃない。取られちゃうんじゃないかと不安になって。ね〜、美咲」

「ちがうよ、そんなことないから。兄貴嫌いじゃないけど、男として見てないし。それにすごい美人の彼女もいるから」

 それからも恋バナが続く三人だった。

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