相談

「とまぁ、俺から言えるのはこれくらいじゃな」



隊長から伝えられた話を受け入れることが出来ませんでした




目の前で母親を殺され、避難した先で父親の死を知らされ、自らも死ぬために、走り続け叫び続け、あらゆる物を殴り続けるなんて



常軌を逸していると言えばそれまでですが、なんだか違和感を感じました





「、、、で隊長、こんなことを言うと不謹慎かも知れませんが、死にたいのなら崖から飛び降りれば良いと思いますし手っ取り早いとも思います。どうしてホーラ君はそれしなかったのですか?」





「うむ、それは俺も思ったんじゃが、どうやら走り回ってる最中に何度か飛び降りとるらしい」




「えっ?じゃあなぜホーラ君は生きているのですか?」




「それが今から俺が話す内容につながると考えておる。お前さんはもし戦場で俺に会ったとして、本気の殺意をもって地面に頭から真っ逆さまに叩きつけられたとして、無事でおれるかね?」




「隊長の近距離戦闘能力は王都でも右に出るものはおりませんよ?そんな貴方の本気の技を喰らって生きてられるわけないじゃないですか」





「じゃよなぁ、、、」





「、、、まさか、ホーラ君にその技を?」





「うむ。この稽古中何度か本気を出したんじゃよ。なのに、あいつは数秒すれば動き出して、1分もすれば立ち上がっておったんじゃ」





「隊長、冗談ならもっとマシな状況で言ってください 」





「そう、思うよなぁ、、、」




「、、、冗談ではないということですね?」





「むしろ、やった俺自身が悪い冗談だと思っておったの」




私は少し背筋が寒くなりました




隊長の本気を私は見たことがありません




しかしながらその功績が表す通り、凄まじい戦闘能力と分析能力で何度もこの国のピンチを救ってきました



そんな隊長に何度も本気を出させて、生き残り、稽古という名の戦闘を継続させたホーラ君




「それじゃあ、まるで彼は「死なせねぇよ、お嬢ちゃん」、、えっ?」




振り向くとホーラ君がいました




しかしその声色は年齢にこれまた不相応な低い声でした




「ふぅ、今日は人格のバーゲンセールじゃの」



「おや、そこの爺さんは気分が優れねぇみてぇだ。ところであんた、どっかで見たような顔してんだが、リングんとこの子孫か?」



「リング!?なぜその名をお前さんが知っておる!?」




「ちーと、昔関わりがあっただけさ。それとそこの嬢ちゃんはしらねぇが、名前は?」




「ぺ、、、、ペルス・オトルです」




「オトル、、、あぁ、あそこかぁ、、、。お嬢ちゃんのその眼はもっと強くできる。どんどん使って鍛えていけよ?俺の知ってるオトルは、相手の眼を見るだけでそこからの行動を全て予測していたぜ?」



「どうして、この眼のことを!?」




「あぁ、まずそっからかぁ、、、まぁ、それは今度出てきたら話すさ」




「お前さんで3人目じゃろ?他に何人いるんじゃ?あと目的は?」



「んー、今んとこ出てきてんのは俺に求道馬鹿にメンヘラかぁ、、、ってなるとあと一人かね。まぁ、厳密には二人なんだが今んとこは一人の認識でいいぜ」



「合計5人か。それで目的は?」



「まぁ、気になるよなぁ、、ちと長くなるが今日は俺以外は出ねぇし、夜もまだ長い。ゆっくり聞いてくれや」





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