理由
さて、ホーラ君は寝たみたいですね
少し悪いことをしてしまった気もしますが、これも隊長が言っていた稽古の続きと考えれば、仕方ありません
今回隊長にはホーラ君の稽古を頼まれました
しかしその内容が少し変わっていました
***
「ペルス副隊長!隊長よりお手紙です!」
「ありがとう、ご苦労様です。」
隊長からの手紙ですか
たしか、勅命でとある森の調査に行っていたはず
隊長といえば、ふらっと任務に行ってふらっと終わらせて帰ってくるイメージでしたが、手紙となると珍しいですね
定期報告程度ならいいのですが
『よう、ペルス。これを読む頃には俺はこの世界にいないかもな』
一行目から心臓が止まりそうになりました
まさか、あの隊長が?
魔物の襲撃を朝に出発して何事もなく終わらせて、夜には酒を飲んでるようなあの隊長が?
『なんてな、一回やってみたかったんだよな。今度どんな気持ちだったか聞かせてくれ』
あっ、やっぱり隊長でした、終わってますね、流石です
『ちと、森で魔物に襲われかけた少年を助けて稽古つけてんだが、なんかどうも変なのよ。なもんで、ちとこっちに来て手助けしてくれぬか?』
情報量の暴力ってパワハラ適用されますか?
森で少年を助けたのはわかります、いや、その状況でも十分おかしいのですが
なぜ、稽古?
どういう話になれば、そんなことに?
しかもなぜ私に?
疑問符しか出てきませんね
『お前さん、人の心の動きとか詳しいじゃろ?それに腕も立つしのぅ』
心の動きですか、、、
なにか訳ありそうな感じですね
『だからこっちにきたらまず性格を豹変させて反応を見てほしい。そこの反応を見ればお前さんならどういう人間か読めるじゃろ?そうだなぁ、最初は真面目なのに二人きりになった途端、不良になって口止めするとかどうじゃ?』
なかなかに指定してきますね
まぁ、少年と言える年齢なのであればそんな人間も周りにいなさそうですし、予想外の状況での反応を見るということですね
『まぁ、なんにせよ、ちときてくれ。地図と大まかな場所はまた明日届くはずじゃ。帰ったら休暇を取らせるつもりじゃから、そのつもりで』
帰ったら休暇と隊長が言う時は、本当に骨が折れる任務ということですね、、、
しかし、少年の子守りで骨が折れる任務ですか、、
『ちなみにこの少年の容姿はお前さんがよく見てる、ちっちゃい子供がお姉さんとイチャイチャしてる絵本の主人公にそっくりじゃ。じゃあ、また後日』
私はそっと手紙を閉じました
隊長ありがとうございます
あなたのおかげで私は人生で初めて殺意を覚えました
***
そして、私はここにきて言われた通りにやってみましたが、反応としては特に変わったところはありませんね
この時期の少年としては少し落ち着きすぎている気もしますが、見て見ぬふりをするという行動自体はよくある行動です
もしかしたら隊長は珍しく心配性になってしまったのではないか?
そんな風に思っていました
ホーラが眠り、少年が立ち上がるまでは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます