来訪
「よし、今日はこの辺でいいじゃろう」
「、、、うぅっ、、、くそが、、、」
あれから1週間経った
食事、風呂、睡眠は意外としっかり取らせてはくれることに驚いたが、それ以外の時間はずっとこの調子である
最初の力試しという名の可愛がり以降、ある程度のルールが設けられた
・稽古以外の時間は何してもよし、ただ休みを疎かにするな
・怪我をしたらすぐに言え、応援くらいはしてやる
・技術は戦いの中で盗め、盗んだら積極的に使え
あといくつかあるが、これらに比べれば少ないものである
今のところ、稽古という名の蹂躙を受けて休む事以外のやる気は皆無だし、怪我は受け身を覚えて以降少なくなった
技術に関しては、色々盗んだが、まぁ、それはそれとして使えるかは別の話
「んっ?ホーラ、お前さんまた回復が早くなったか?」
「んなわけねぇだろ!立たねぇと、休みに行けねぇじゃねぇかよ!」
「あれだけ受けてそれだけ言えたらまぁ、及第点かの、、、それはそうと、ちと今日は俺の部下がここを見に来るらしい」
「へぇ、、、って、今更だけどあんた何者なんだ?」
「んー、それは、ちと言えぬな、ただまぁ、それなりに部下はいるかの」
「ふーん、まぁ、適当にやっとくよ」
それからいつも通り近くの川で身を清めた後、少し休んだ
そして、天井を見ながら思う
そもそも、俺はあの時確実に死ねた
それをあいつは何故か死なせてくれなかった
まぁ、部下がいるってことはそれなりの役職なんだろうし、人手が足りないなんてわけもないだろう
それに客観的にみて魔物に襲われそうになっている少年を見て、見捨てるような人間でもないはず
ただ、不思議なのはそれからだ
なぜ、俺を見捨てずに、こんなことをしてんだ?
理由は俺が自ら死ねるようにとは言っていたが、それでここまでやるか?
もしかして、あいつには別の目的が、、、
「隊長、ただいま到着いたしました」
「おう、ご苦労さん、道中どうじゃった?」
不意に若い女の声が聞こえて、起き上がる
「まぁ、なんとも言えませんね、それでこの少年が報告書にあった?」
「うむ、まぁ、そうじゃな、あっ、起きたか」
「まぁ、寝てなかったしな、、、どうも初めまして、ホーラです」
「はじめまして、ホーラくん、私はおう「名前だけでよいわい」失礼しました、私はペルス・オトル。ペルスとお呼びください」
率直に綺麗な人だとおもった
ピカピカに磨かれた甲冑に金色の長髪がなびき、透き通った青と赤の眼をしていた
「おい、ホーラ、見惚れすぎじゃぞ。」
「う、うっせぇよ!観察は基本中の基本って教えたのはあんたじゃねぇかよ!」
「隊長、私は構いませんよ?あと、ホーラくん、それは本当に一番重要な基本動作になります、日頃から常に観察する目を養ってください」
「ペルスも気に入ったようじゃの、さて、ちと俺は出かけてくるから、二人で留守番頼むぞよ」
「へぇ、珍しいな、あんたが出かけるなんて」
「俺も忙しいんじゃよ、ってなわけでホーラ、ペルス、行ってくる」
そういうと、あいつは出て行った
そもそも、初対面の女と二人きりにして良いのかよ、まぁ、何もしねぇけど
「ペルスさ「ふぅ、、、」えっ、煙草?」
「隊長いねぇし、もういいだろ?あと、クソガキ、このこと隊長にチクったら粛清な?」
えっ、まじ?さっきまで真面目そうな人じゃなかったっけ?
「、、、いや、はい?」
「はぁ、なんでウチがガキの面倒みねぇと行けねぇんだよ、かったりい」
「いや、さっきまでホーラくんって」
「あんなの、演技に決まってんだろ?気色悪い」
「、、、、ちょっと寝ます」
「おう、寝てろ寝てろ、ウチに面倒かけんなよ」
「はい、、、」
そっと俺は横になった
あのクソジジイ、押し付けやがったな!!
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