夢現

「ホーラ!よかった、生きてたのね!お母さん心配だったのよ?」




嘘だろ、いや、嘘だろ





「ホーラ、どうしたの?そんな顔して、嫌な夢でも見た?」



「おう、ホーラ!大丈夫か?母さんが心配してるぞ?」




周りの風景を見てみると、そこは建物が少し崩れてはいるものの、潰れてはいない村の姿があった




あの商店も、あの鍛冶屋も母親も父親も全部全部無事だった













「、、、そんなはずないのにさ」




夢ってさ、本当に今一番見たいけど見れないものを見せてくれるんだな




そんなの最高の悪夢じゃねぇか





「母さん、父さん、ごめんよ」




「、、、ホーラ?」





全部わかってるんだ、これが夢だってことも、現実には天地が逆転して俺が神様にでもならないと実現するわけがないことも、生まれ育った村は完全に焼け野原になってしまったことも、父さんも母さんもこの世には存在しないことも、全部全部わかってるんだ





そう気づいた瞬間にどろりと溶けるように景色が変わり、元の焼け野原に変わった



あの時と同じように俺一人になった




「だよな、うん、これでいい」



「本当にそう思うか?坊主よ」








「、、、えっ?」



その声がした方に目を向けようとした




「よう、目覚めたかい、坊主」



どうやら俺は目が覚めたらしいが身体が動かない



そして




「痛っ、、、、」



全身に針が刺すような激痛が走った




「はぁ、ちとお前さん気を張りすぎだってんだ、意識を失ってるくせに一丁前に暴れやがって」



唯一動く頭で周りを見渡すと、ボロボロの小屋で、乱雑に物が散乱している




「、、、ここはどこ、、、ですか?」




「慣れねぇ敬語を使うんじゃねぇよ、まったく、とりあえずこれでも飲め」




口に注がれた液体は驚くほど苦くて、この世のものとは思えない味だった




「まっず!これ毒か!?」



「なわけねぇだろ、俺らに伝わる気付け薬ってやつだ、ちとは元気出ただろ?」




あんなものを飲ませたくせに目の前のおっさんはニヤニヤ笑っていた




その笑顔が無性に腹立たしくて、憎たらしくて



「ぶっ殺してやる」




「まぁ、その拘束が解けたら相手してやるよ、とりあえずお前さんは休め」



「くそが!せめて名前ぐらい教えろ!俺がぶっ倒したら墓標に刻まねぇといけねぇからよ!」



「くたばりぞこないのクソ坊主が生意気言ってんじゃねぇってんだ、、、」



「せっかく!せっかく、、、」




「死ねると思ったのにってか?ふん、悲劇を語れるのはヒロインだけだってんだ、、、てめえみてえななんもしらねぇハナタレ坊主が死を目指すなんざ百万年はえぇんだよ」


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