星々の魔法使い
面々麺綿免
第0話
僕は、星が好きなだけだった。
有名なもの、マイナーなもの、全てが光り輝き黒いキャンバスに色を付ける景色が好きだった。
望遠鏡で、本で写真で映されるあの景色が好きだった。
叶うのであればその星々を触りたかったのだ。
だけれどももう叶わない、あの日あの時数百年ぶりの特別な流星群。それを見るためだけにやってきた山の帰りに撥ねられた。
意識が飛び、浮かんだ体で「星に届くかな?」と考えていた我が身だが、どうやらそうではないらしい。
今、天に見えるは月は月でも3重に重なった地球では見れないであろう光景であり、恐らく異世界という僕が星を越えた何処かにいることになったのが理解できた。
何やら白い人と話した気もするし、しなかった気もする。月夜に燦めく木々の間に照らされた家は白い人か言っていた僕の大切な物たちがあるのだろう。
扉の前まで歩いて行き、手をかけ開いた先は______
たったそれから数ヶ月後、何やらこの星独自の人種、エルフというのか住み着き始めた。
まりょくー、だのせいれいがーだのよく知らないことを言っていたが星に興味を示してくれたようでこの星独自の星座も一緒に考えようとしてくれている。
お師匠なんて呼ぶのが微笑ましい。
なにやらこの星の科学に代用できるであろう技術の【魔法】を見せてもらった。何も無いところから火や水が出たり、不可思議なことばかりをやってくれた。褒めてあげると喜んでくれてワンコみたいだった。料理も代用できるのはありがたい、僕はそういうのが無理だからね。
なんともまあ凄いことに彼ら【エルフ】というのは人の何十倍、何百倍、それより上でさえ生きれるらしい。羨ましい。それほどの時間があれば地球ならば月どころか別の惑星に行くことさえできるだろうに…。 ほっぺがもちもちしてた。
大体、僕が来てから数十年たった。
魔法というものの素晴らしさを今一度知った。
彼は今まで聞いた知識を頼りに一部の空間を太陽と同等の環境にすることを成功させた。
魔法はイメージだと彼は言うが、このことに関しては「凄い」の一言以外いらないだろう。他にも色々作ったようだが危ないから使わないとのことだ。貧弱な僕のことをよくわかってらっしゃる。
おおよそ100年も過ぎてないがそれなりに年が過ぎた。彼が言うにはあと僅か。ならばそれだけでも十分だ。彼が擬似的だが見せてくれた、触らせてくれた星と宇宙。人ならば宇宙服を着なければならない環境をどうにかして再現してくれた。
なんとも、師匠思いな弟子であろう。
まあ、もう分かってたから。後は全部君が使ってくれ、読むだけでもいい、知識を深めてもいい、さらに色々なものを練ってもいい。だから、ありがとう。
叶わないと諦めかけていた夢を僕の手に掴ませてくれて。
泣かないでくれよ。僕はそれなりにロマンチストだから笑って送り出される方が好みなんだ。
君は笑顔が一番似合う子だから、だから。
笑って送り出してくれよ。
僕の
_________________________________________________
この【僕】は主人公ではなく師匠枠の人物です。
人物紹介
【僕】あるいは【転生者】
地球に住んでいた星が好きなだけの一般人。
ある程度のお金は星関連に使ったり、田舎に行き星を観察したり生活の中心は星ではあった。
何の脈絡もなく死に、再び生を受けた。
弟子は犬であり大福みたいな物と思っており、ほっぺのもちもちが好きだった。
弟子には感謝をしている、あの日見た夢を、あの日届かなかった手を擬似的であろうが掴ませて、触らせてくれたこと。心残りはエルフが寂しがり屋気味だから残していいのか困っていた。
星々の魔法使い 面々麺綿免 @kakikaTa66bbdd
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。星々の魔法使いの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます