第12話 ダンジョン探索1

 今私は、護衛を引き連れて、ダンジョン探索を開始した。

 私の考えるダンジョン攻略法は、『|地図化《マッピング』『攻撃力』『守備力』そして、危機に即座に対応できる『思考の反射とそれを実現させる技術力』だ。

 というわけで、4機の護衛を作った。

 探索機が『スカウト』で道案内役だ。罠の感知と地図化マッピングがメインとなる。

 攻撃部隊は『アタッカー』だ。機動力と振動剣ヴァイブロブレードが武器。

 防衛機は『ガーディアン』かな。量子コンピューターとリンクして、弾丸程度なら防いでくれる。

 工作機が『クラフト』で、罠の解除を行ってくれる。それと、私のイメージの実現だ。材料は現地調達で賄えると判断した。


 この護衛達は、自立AI搭載型のロボットだ。

 形状の説明をさせて貰うと、長高は、150センチメートルの四足歩行型だ。犬猫に近いけど、外皮が金属だ。

 銃器は、今回は装備させない。〈複製〉が怖かったからだ。ただし、装備は可能だ。それと、一応の攻撃手段としてナイフかな。

 100メートルを5秒で走り、重量は200キログラムある。

 運動機能は、豹並みの機動性とし、ジャンプ力は、建物の三階に飛び移れる。ワイヤー起動装置も取り付けた。飛行能力は、今のところ取り付けない。今いるダンジョンは、洞窟型と聞いたからだ。

 外装は、贅沢に70mmチタン装甲だ。前世であれば、高価すぎて作れないだろうな。

 正直、拳銃を装備しただけの人間では、対応できないと思う。バズーカ砲でも、一発であれば耐えられるだろうし。

 まあ、1機だけでも、戦車を制圧できるだろうな……。それだけの運動性能は持たせた。


 ダンジョンには、魔物と呼ばれるモンスターが出て来るが、私の視界に入る前に倒されている。『アタッカー』は強すぎだ。

 正直、遠距離攻撃を持って来ていないけど、火力が違う。

 たまに、床が抜けたりするけど、トラップ等は『スカウト』が拡張AIにて私に教えてくれる。

 魔物は倒されると、塵になるけど、何か残る場合もある。ドロップアイテムと言うらしい。それらは、『クラフト』が回収してくれて、私が、"換金"する。

 たまに飛んで来る、矢や飛翔生物等は、『ガーディアン』が防いでくれる。

 私は、なにも考えずに地図化マッピングを行う事ができた。



「一層は、こんなものかな?」


 目の前には、二層への階段が続いていた。


「赤外線暗視ゴーグルは、役に立つな。懐中電灯もランタンも必要ない。白黒なのが残念だけど、ダンジョンに風情を求める意味もないしな……」


 まだ、未踏破な部分もあるけど、今日の目的は、『より深く潜る』だ。

 そして、『勇者:ユウキ』からの〈称号〉剥奪。

 そういえば、探索者を見かけないな……。このダンジョンは放置されている?

 私は、『スカウト』に搭載されている、〈反響エコー〉を飛ばしてみた。

 収音して、『スカウト』が、音の届く範囲の地形と障害物を表示してくれた。


「一層の奥で戦闘している人達はいるんだな。……手助けは、必要なさそうだ。放置でいいか」


 私は、二層に向かった。


「二層は、毒のフィールドか……」


 私は防毒マスクを取り出して顔に取り付けた。

 とりあえず、分析を行う。


「……植物系の神経毒か。蓄積して行って最終的に状態異常になる。状態として麻痺かな? 単純だけど、効果的な罠だな……。脳筋だと、ここで終わるだろうし」


 私は、〈反響エコー〉を飛ばして、ダンジョン二層の確認を行った。


「む? 倒れている人達がいる?」


 私は、その場所に向かった。





「大丈夫ですか?」


「あ、ありがとうございます」


 私は、三人の探索者を連れて、二層の入口へ戻って来た。

 解毒薬を飲ませたので、命は助かるだろう。

 二人はまだ目を覚まさないけど、バイタルサインは問題ない。

 起きていた一人が、寝ている探索者に向けてなにかを始めた。

 両手が光っている。


「それ、魔法ですか?」


「初歩の回復魔法になります」


 ほう……。解析してみると、未知の物質が関係している事が分かった。

 普通の人は、キャラメイク時にこんなスキルを望むんだろうな……。

 さて、観察していても時間の無駄だ。

 私は立ちあがった。


「私は、先に行きます。二人が起きたら引き返してくださいね。特に解毒薬が不足していますよ」


「ありがとうございました。途中で迷ってしまい……。解毒薬を使い切って、終わったかと思っていました。それで、お名前をお聞きしてもよろしいですか?」


「セイと言います」


「私達は、探索者パーティーの"最奥へ挑む者達"になります。後日、街でお会いしたら改めてお礼をさせて頂きます」


 ……要らないんだけどな。


「ちなみに、現在の踏破階層は分かりますか?」


「四層ですね。『勇者:ユウキ』はそこで引き返したと、言っていました」


 お礼は、この情報だけで十分だな。


「あの、ご武運を……。召喚士セイさん」


 私は一礼して、二層に戻った。

 しかし、金属でできたロボットを見て、私を『召喚士』と判断したのか……。

 似たような事を考えた人がいる?

 いや、金属の外皮を持つ生物がいるのかもしれない。


「まあ、このダンジョンであれば、大丈夫かな」


 私は、歩を進めた。

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