第5話 貰ったスキル2
今私は、飛空艇から風景を眺めていた。
体勢は、体育座りだ。
落ち着こう…。落ち着こう…。落ち着こう……。
念仏のように自分に言い聞かせていた。
「……ふう~」
今考えなければならないことは、あの時の神様と話した内容だ。
精神を落ち着かせて、思い返す。
「私が要求したのは、ラボ・電力・インターネット・人工知能・パソコン・資金と衣食住の保証、だったはずだ」
ラボが飛空艇であり、家にもなると思う。この後、食料の備蓄確認が必要かな。飲料水も必要だ。
電力は、何故か〈核融合炉〉。飛空艇に乗っていると思う。そうなると、〈超小型の核融合炉〉か……。作れるんだな。もう、漫画とかアニメの世界だよね。巨大ロボットも作れそうだ。
人工知能とパソコンは、〈万能AI〉と〈量子コンピューター〉になりそうだ。
そうすると残っているのは、〈インターネット〉と〈資金源〉だ。
聞くのは怖いけど、聞かないと始まらない。
「〈万能AI〉さん。〈インターネット〉の検索はできますか?」
『それでは、先ほどの部屋に戻りましょうか。端末の使い方をお教えします』
私は、重い腰を上げて先ほどの部屋へと向かった。
◇
指示されるがまま、椅子に座る。
だけど、目の前にはテーブルしかない。
ここで、テーブルの一ヵ所が点滅し出した。レーザーでも照射しているのかな?
『光に触れてみて下さい』
言われるがまま、触れてみる。
すると、ディスプレイが現れた。それも物理的ではなく、光学的なモノが……。
ディスプレイに触れようとすると、手が突き抜けた。
間違いない。SF映画とかで見る、実体のない光学映像だ。拡張現実どころじゃない。
もう、脂汗が止まらない。
あの神様は、なんというモノをくれたんだ。
『何を検索したかったのですか?』
とりあえず、今調べなければならないこと……。
「地理が知りたいですね。それと、現在地も」
私がそう言うと、ディスプレイの表示が切り替わった。
次々に情報が表示される。
これは、私の思考とリンクしているみたいだ。こうなると、キーボードもマウスも必要ない。
私は、とりえあずこの世界の地理を頭に入れることから始めた。
◇
「……惑星と考えて良いのですよね?」
『地球とほぼ同じと考えてください。地軸の傾きも近いです』
ふむ……。ただし、地形が異なるな。
北半球と南半球に均等に大陸がある。しかもその大陸が小さい。
最大面積でも、オーストラリアくらいの大陸が、十個あるくらいだ。それと、島が多いな。
この飛空艇の位置だけど、海の孤島に停泊しているみたいだ。前世地球で言うとハワイと言ったところかな? ハワイ島やガラパゴス諸島?
とにかく、他の大陸とは離れた位置にいるみたいだ。
「ここは、
「はい、各大陸には、それぞれ、グレゴリオ暦の名が冠されています。まあ、霜月でもいいですよ? 翻訳しますので」
「第十二大陸が見当たりませんね?」
「今は、神様により隠されています。望みを叶えた者のみが辿り着けると考えてください」
「その望みとは、なんですか?」
「
多分だけど、神様の願いを叶えた時のクリア報酬になるんだと思う。
今は置いておこう。
ここで、気象予報を見てみる。
「一年先まで、天候が分かるのですか? さすが、〈量子コンピューター〉だな……」
『いえ、〈アカシックレコード〉からの情報です。天候程度であれば、100年先までも見通せますよ?』
ぐはっ!? インターネットじゃなくて、〈アカシックレコード〉ですか?
あの神様、なにを考えてるんだよ。
まあ良いや。驚いてばかりいても、精神に悪いだけだ。
「まず、この惑星の歴史を調べるか」
そう思うと、要約された情報が表示された。時間の短縮にはなるけど、これでは楽しみがないな。
まあ、いい。とりあえず、読んでみる。
「……複数の知的生命体ね。竜人に魔人に亜人……が多いと。人族もいるけど、個の力では劣るのか。
『補足です。今は、勇者5人と魔王5人が存在しています。それと、戦争に疲れてしまって、全ての種族が内政に力を注いでいる時期になります』
物資が蓄えられたら、また戦争を再開するんでしょう?
その前に頭を押さえたいな。
ここで思い出したことがある。
「もしかして、私も〈勇者〉に選ばれている?」
『もちろんですよ? 6人目の新人〈勇者〉となります。これから、11人で争って貰います。土地の奪い合いですね。全ての大陸を統治するのが、ゴールになります』
「
「あなた様だけが、入れるダンジョンを手に入れています。私も驚いたのですが、スキルを決める時に、ダンジョンを要求するなど聞いたことがありませんでした。ただし、ダンジョンに篭る事は許可されていません。〈ダンジョンマスター〉ではない事を、ご理解ください」
鉱脈って……、ダンジョンのことだったの?
……隠居生活は、できそうにないな。
せっかく研究施設を貰ったのに、外に出る必要がありそうだ。
それと、ダンジョンマスターが理解できない。まあ、後で調べておくか。
ため息を吐くと、飲み物が出て来た。ドローンが運んで来たのだ。
『甘めの紅茶です』
私の好みも把握してくれているのか。
飲んでみる。
「香りも良いし、味も美味しいですね」
『うふふ。ありがとうございます』
「ちなみにですけど、〈万能AI〉さんに性別はないですよね?」
『もちろんありませんが、指示してくれれば『身振り』は可能です』
「名前を付けても良いですか?」
『もちろんです』
さて、センスを問われる時間だな。
私の前世のスーパーコンピューターは、『京』とか『富岳』だったな。
単位で行くか?
億、兆、京、垓、秭、穣、溝、澗、正、載、極、恒河沙、阿僧祇、那由他、不可思議、無量大数……。
昔覚えた、無意味な単位を暗唱して行く。
「……ナユタもしくは、ナユでどうでしょうか?」
『性別は、男性が好みですか? 女性ですか?』
「性別には拘りません。ただし、優しい性格でお願いします」
『それでは、女性設定で、【ナユ】とお呼びください。それと、設定は何時でも変えられますので、都度指示してください』
「よろしく、ナユさん」
「こちらこそ、勇者
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