たからばこ
ねぇ、あたし魔法が使えるんだ。なくなっちゃった感情ってさ、どこに行くと思う? ふわふわ、風に乗ってどこまでも飛んでっちゃうみたいでしょ。わたあめみたいに口の中で消えてっちゃうみたいでしょ。
でも違うんだよ。感情は宝石になって、きらきら心の中で輝いてるの。あたしはそれを見ることができる、それが魔法。ころころしててかわいいよ。淡い恋とか、醜い恨みとか。なんでもかんでもパステルな宝石になっててさ、セボンスターみたい。わかるかな。見せてあげたいな。
例えばあたしのこないだの恋は今きれいな水色の宝石なの。まんまるのね。調べてみたらターコイズだって。石言葉もすっごくぴったりでさ、しっくりきたの。もういなくなっちゃった恋だけど、この感情が本当に愛しいんだ。いつまでもあたしの宝箱の中で大切にとっておきたいなって思う。
みんなさ、感情がなくなったらなんだか切なくなったりするじゃんか。でもちゃんとあるんだよ。もう二度と感じることはできないけど、宝石になってずっと宝箱の中にいるよ。だから大丈夫。あたしを強くしてくれたあの恋は、今だってあたしを見守ってくれてる。間違いなんかじゃなかったから。
きっとこれからもたくさん宝石が増えてくんだろうな。あたしの宝箱の中、きらきらでいっぱいになっちゃう。いいな、なんか。とってもきれいだ。
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