第16話 犠牲になったのだ忍者の犠牲にな

天文18年(1548年) 駿府 怪しい廃屋 


 【朗報】忍者、青木をリクルートに成功。

 

「私をどうするつもりだ!!」


 わしはため息をつく。

 廃屋に捕らえてみたが五月蝿い小娘だ、マジで。

 

「どうするもこうするもないわ、阿呆」

 

 【悲報】こいつ頭対●忍だった。

 青山っぽい顔をしたクノイチ。

 そんな変態が唐突に襲い掛かって来たのは、駿府に入ってからの事だった。

 恐らく彼女は、青山虎之助だと思う。


 なお根拠は、わしの勘。


 しかし、シロウトの返り討ちにあって捕まえられたのだからザマアない。

 忍者の大半を半三ん家に返却したから、その隙を狙われたのだろうけどさぁ。

 おまけに襲撃の手法が古典的だった。

 色仕掛けからって……オイ?


「酷いことするんだろ?!」


 やっておしまい! と言いたい、わし。

 けどまあ? そう言うんだったら?


「斬る?」


 ナチュラルにチョンパを試みようとする護衛。

 彼からすれば、一番それが楽なのもわかる。


「いや、ここはオレに!!」


 藤吉郎殿は前屈みでなければ、恰好よかったのにな。

 ひどいことしたいんだろ? 三国志演義みたいに。

 まあしょうがねえなぁ、アンタ、滅茶苦茶女好きだし。


「まあ、奴隷として売れるでしょう」


 数正は鬼畜発言をする。

 そーゆーとこやぞ、皆に嫌われたの。


 さて、どうするか? わしは悩んだ。


 しばし悩んでから、わしはそっと手書きの小冊子を懐から取り出した。

 思い出して良かったエロ本。


「ここに、黄素妙論エロテクボンがある」


□□□


 21世紀のセイギってスゲー!

 

 わしの記憶の中の房中術、

+21世紀の科学的なエロテク

+性の怪物達であるエロガキ共


 シナジーはヤバかった。

 親父の命令だと言うし、青山には悪いが悪即くっ殺させてもらった。

 ねちょねちょで今のヤツは気持ち悪い。

 奴ったらみ●くら語訛の壊れたおもちゃとなったぜ。


……TSしてメス堕ちって如何よ?


 彼女ったらペラペラしゃべってくれたよ。

 本人曰く、父の命令を受けたと。

 甲賀者()としてわしの身柄、ダメなら命を狙ったらしい。

 

 まあ、その結果はね?

 ぼくらのオ●ペットとして飼っておく?


 わし? 使うわけがないじゃないですかヤダー

 現場を目撃もしてないとも、周辺で護衛と竹とんぼで遊んでたぞ?

 そんなメス堕ち野郎を無視しして、わしは考える。


……分かっていたが、父は完全に織田に転んだようだ。


 全く面倒なことをしてくれる。

 死んでくれたらいいのだが、生きてる限り害がある。

 わしが岡崎取るときに口出してくるだろうな。

 

……そして青山だ。


 段蔵に振られたし、金もないので忍者として使える人材ではある。

 しかも今回は女性としてだ。

 色々夢が広がるが、こいつ退○忍だもんなぁ……


 怖くて使えない。


 と言うかくすぐりだけで足腰ダメって青山さぁ……

 わしは大きなため息をついた。


□□□


 ちょいちょい、段蔵とはやり取りをやっている。

 彼、普段は大道芸人と、とび職を隠れ蓑にしているんだ。

 それも仕事人みたいだな、必殺ってか。

 そんな彼と、街道の給水できる場所で接触した。


「で、どうしたんだ?」


「尾張を出られたので、改めてご挨拶をと」


 忠誠心は、彼から感じられない。

 ただ、お得意先になりそうだから気にかけられているのは感じる。


「お前が、忍びとして仕えてくれると楽なんだが」


「ご冗談を、今川にも手練れはおりますので」


 だよなぁ、あの師匠が情報を軽視したとは思えない。

 でもって風魔の里も同じ静岡にある。

 それなり以上に防諜とかは意識するだろう。


「で、目的は? アイサツだけってことは無いだろう」


「甲賀ものへの注意するよう申し上げたく」


 ふうん。甲賀ねえ。

 あいつら六角やら仁木とか縁があるからなあ。


「わしが害されると」


「さあ、それは分かりませぬ。ただ、奴らが東海道で蠢動しておりますので」


 情報交換としては、微妙。

 だが好意からだと思うとだ、役には立つ。


「……屋敷を構えたら遊びに来い、茶でも出す」


「感謝申し上げます」


 そうして彼はすっと去って行った。

 青山の醜態を見た後だと、心底惜しいと思う。

 プロ忍、いいなぁ。

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