案外何とか...?

 今日の体育は二週間後...正確には13日後に控えた球技大会に向けた練習。本番まで今日含めて4回しか練習する日が無い。しかもそのうち一回は大縄練習。


「最初に聞かせてくれ、お前らサッカーは好きか?」


 俺はわかりきった質問をチームメイトとなる他の7名に聞いた。


『正直あんまり』


 このクラスはソフトに人気者の中村元気がいき、他にも野球経験者が多いのでソフトが強いし人気。そしてサッカーは正直どちらでも良いけれど、こっちが余っているから来たみたいな人達。


「俺は運動するのが好きだからサッカーも好きだよ」

「俺もそんな感じ」


 陸上部の青野と澤野が反応した。こいつらはいつも二人組でいる仲良し。だから二人で入れればどちらでもって感じだったのかな。正直ありがたい。


「よし、お前ら二人フル出場でめちゃくちゃ走って貰うからな。ありがとう」

「まあそれしか勝ち筋無いよね」

「やるからには勝ちたいし。冬馬もフルだよね?」

「もちろん。今年も得点王取ってやる。元気に対する怒りを力に変えて」


 あいつが悪い。本来ならば、サッカーの方が人気なのにあいつが行ったから...


「そうだな...キーパーどうしよう...やりたい人がいる?」

「やりたい!」


 確か帰宅部の上田が元気良く立候補。背も高いしまあ良いだろう。


「じゃあそこの四人は交代で二人ずつって感じで良いか?」

「わかった」


 


 練習試合が始まった。ちなみにどのクラスも当日当たらない所。


 1試合目。キックオフで俺がボールを預かり、中央突破を試みる。二人抜いたら囲まれてしまったので、サイドにいた青野を走らせるパスを出したら敵が誰も追い付けず、そのままクロスをあげたところを澤野が合わせた。辺りどころが悪くキーパーに弾かれるが、俺がそれを詰めて一点目を獲得。


 相手はサッカー部が結構遠目からでもシュートを狙ってくるチーム。そのうち一本がブロック間に合わず決められる。そしてまたロングシュート打たれたが、上田が弾く。そのこぼれをクリアのつもりで蹴ったらゴール前までいった。それを相手DFがトラップミスをしたのを澤野が見逃さず、上がってきた青野にパスをして確実にゴール。2-1で勝利した。


「澤野めっちゃ足早いな」

「こいつ陸部でも一番速いよ」

「マジかよ」

「シュートは苦手だけど走るのは得意」

「澤野は前で張っていてくれ。オフサイド無いし」


 クリアを拾って貰えるならビルドアップが楽になるな。


「皆、ボール持ったらシュートくらいの感覚で前にぶっ飛ばそう!それを澤野ができる限り拾って出来るならシュートまで、無理なら俺か青野が上がって来るまでとにかく失わないようにするって感じで行こう」


 澤野は足元不安だが、とにかく足が速い。青野は器用貧乏って感じかな。乗り気じゃ無かった四名も思ってたより動けるから良かった。


 2試合目。事前に打ち合わせていた疑似カウンターが刺さりまくって5-2で勝てた。一つやること決めるだけでこうも攻めやすくなるものか。


 2試合目が終わり、一度休憩に。その時間で少しアドバイスをして回った。


「五十嵐。お前は身体でかいし使い方覚えよう。こうやって腰を落として背中を相手にぶつける感じで...そうそうそれをゴールキックになりそうだけど相手が残そうとして走って来る時とか、キーパーに託す時とかにやってくれ」


「上田はちょっと怖いかもしれないけど、一対一の時前でてみな。やってみたらわかるけどシュートコースがめっちゃ狭まるから」


 そんな感じでその人にあった技や技術を教えて隙間時間を過ごした。その成果が出たのか3試合目も上手く試合が運ぶ。皆迷いが無くなり、危なくなったらとにかくおもいっきり蹴るというのが反射でやるように。そして澤野もトラップが少し上手くなり、シュートまで行ける回数が増えた。結果6-3で勝てた。


 ...これまあまあ強いのでは?体育祭の相手が強いのかいまいちわからんが頑張ろう。

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