これって完全に...
「あ、梨乃だ、さっきぶり!風岡もいたんだ」
「俺は金魚の糞だからな」
「どっちかって言うとコバンザメじゃね?」
「接触はしてないから金魚の糞の方が近い」
金魚の糞なら後ろを歩いて欲しい。端から見たら私達完全にデートだよね...
図書委員四名で出掛けた時はまだ良かった。あれは二人きりでは無かったし、四人でいるときはほぼ音羽と話していたから。まあその後ちょっとしたハプニングで二人になったけれど、"はぐれた"っていう理由がある。
花火大会もまだ良かった。完全にデートではあるけれど、"勉強教えてくれたお礼"っていう理由があった。何より少し遠いところに行ったから、知ってる人と会う可能性がほぼない。
でも...これは...
「梨乃?どうかした?」
「ううん、何でもないよ?」
「そう?じゃあ楽しんでってね。あと、ポーカーやってるから来てね~」
「俺あっちのブラックジャック担当だから、あとで来てな」
入り口で五個の手作りメダルを配られ、各自の裁量で賭けて増やしていくシステムらしい。とりあえず私達はダーツで対決することにした。
「じゃあダーツと谷のいるブラックジャック、高田さんのいるポーカーで三本勝負にする?」
「良いわよ。負けたら風岡呼びに戻すから」
「なら俺が勝ったら梨乃って呼ぶからね?」
絶対に負けられない戦いが始まる。現状、周りに付き合ってんの?とか言われてストレス溜まっている。それが名前呼びにされたら加速するに決まっている!
「4...22...18...合計44点」
係の人が入ったところの点数を読みあげていった。ここでは最初に2枚のメダルを渡して、十点ごとに1枚メダルが貰えるらしい。つまり冬馬は2枚勝った。
「ムズいな~ルールも良くわからんし」
「良い方なのかすらわからないわね」
矢の回収が終わって私の番。何か2倍になったり3倍になったりするらしい。とりあえず真ん中狙おう。
「40」
「マジかよ、1投目でもうほぼ敗けじゃん」
「39...60...合計139点。おめでとうございます。本日最高得点です」
何か大量のメダルとお菓子を貰えた。
「西野さん強すぎない?経験者?」
「違うわよ...たまたまでしょ」
次にポーカー。ここは音羽がやっているところ。
「お、お二人さん楽しそうですな」
さっき渡り廊下で会ったときにも思ったが、音羽は事情を知っているのに何で煽ってくるの...
「賭ける額は最低2枚、順番で賭ける枚数を決めていく。レイズっていって、手札配ったときと、役が揃った後でそれぞれ賭ける額を任意の数増やせる。それに応じるならコール。棄権するならドロップね。今は空いてるから私も入って三人で。勝った人が総取りで、引き分けならその人たちで山分けね。5ゲームまで連続出来るよ~」
私と冬馬は5回勝負の中でのメダルを追加で獲得した枚数で競うことにした。
じゃんけんしたら、音羽、私、冬馬の順番で賭ける枚数を決めることになった。
「じゃあ配りまーす枚数は二枚で」
最初はワンペア以外の三枚を捨てたが何にもならず。冬馬がスリーカードで1人勝ち。
「次いきます。枚数は?」
「...3枚で」
私は初期札がかなり良く、全てクローバーで34569が来てフラッシュ。だが....
「レイズ、追加5枚」
設定上持ってるコインの数は10枚で、現在賭けてるコインを除くと5枚の音羽を潰しに来た...
「....ドロップ」
音羽が降りた。私も降りるべきだろうか...ここで勝負して負けたら11枚取プラスだからから15枚も差がつく。残り三試合で巻き返すには攻めるしか無くなる...
「ドロップ」
「まあ俺ツーペアなんだけどね」
「...」
そこからもう一方的だった。私は一回しか勝てなかった...
「冬馬強すぎない?ラスベガス出身?」
「梨乃、ラスベガス出身の人が無条件で強くなるわけじゃないでしょ...」
「俺がラスベガス出身ってとこを否定してくれ」
聞くと中学の頃学校で流行っていたらしい。もちろん賭けるのは本物のお金ではなく遊びで。それを先に聞かなかった私の負けかな...
「最後はブラックジャックだね。こっちはほんとに未経験」
「お、来たか。でもちょうど混んで来たから1組三ゲームくらいな」
「わかったわ」
ルールは最初に2枚ずつ配られ、1枚は他のプレイヤーには見られない。何枚追加するかは自由で、21に近い人が勝ち。22以上になった時点でアウトというもの。
「1ゲームコインは2枚で負けたら勝った人に渡す感じでよろしく」
1ゲーム目はお互い堅実に行った。
「西野が19...風岡が18で、1ゲーム目は西野の勝ちだな」
次の2ゲーム目は冬馬が追加で貰ったのが11としても使える1。追加で貰わなかったので、おそらくかなり近いのだろうと考え、16から追加で貰うとドボン。
「次がラストで良いか?」
「元から三本勝負だし、良いぜ」
「そうね。ちょうど一勝一敗だし」
最後の勝負。結論から言うと、お互い18まで行って私は守りに入った。風岡は攻めた。そしたらドボンして私の勝ちに。
「何で攻めたの?別に悪くはない数字だったのに」
「それじゃつまらないから...かな」
「約束通り名字呼びに戻すね」
「でも良いの?」
私が呼びたいとでもおもっているのかしら?
「ここで名字呼びに戻したら絶対にこの文化祭デートで何かあった?って聞かれるよ」
「謀ったわね...」
そうすると付き合って居たけどさっき喧嘩とかして別れましたみたくなるのは嫌なので、とりあえず勝った報酬は保留ということになった。
何か最近こいつに良いようにされてるだけな気がする...
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