宣戦布告
今日は始業式。クラスメイト達が夏休みにあったことや宿題やったかどうか等で盛り上がっている中、俺は西野さんのことだけを考えていた。
周囲に人がいるときに、"話がある"とか言っても迷惑だろう。かといって連絡して気付いて貰えなかったり、そもそも予定があったりしたら詰みだ。考えているときに連絡が来た。高田からだ。
『今日バレー部休み』
簡素なJK感の無い文章で超重要な情報をくれた。何で俺にそれを教えてくれたのだろうか...まあいいや、とりあえず返信しよう。
『礼は言わんぞ』
既読無視されたので西野さんに連絡しよう。
始業式が終わり、帰りのHRも終わった。
「何が"因縁の場所で待っとく"よ...ふざけてんの?」
俺は高田から連絡がきたあとにそれだけ言って、一緒に花火を見る予定でいたとこで待っていた。来てくれなければそれこそ諦めるつもりで。
「話がしたくてね」
「どんな?」
「告白の返事まだもらって無いから」
「確かに...それはごめん」
ちょっと意外そうな顔をされたが、深呼吸をした後に答えるってとこで遮る。
「返事聞く前に自語りしても良い?」
「...良いけど?」
「そんな身構えないでよ。言葉にしたら終わっちゃうかもしれないんだから、もう少しだけ引き延ばしたいなって思っただけだよ」
それは、あの日に彼女が使っていた言葉。あの時すでに解ってはいた。だが、わからない振りをして逃げていた。
「俺もうとっくにしていたみたいなんだ。本気の恋ってやつを...西野さんにこの気持ちを伝えたい。でも、伝えたら終わっちゃうかもしれない。伝えることで、今の関係を壊すことはしたくないって思ってる」
彼女は今どんな顔をしているのだろう。恥ずかしくて顔を...目を見ることが出来ない。
「こっちを...向いて」
笑っているというか、微笑んでいる気がした。
「嬉しい」
それに続く言葉は言わなかった...言ってくれなかった
「ねぇ、西野さんの好きな人ってどんな人?」
これは、確かめずにはいられなかった事だ。
「風岡みたいに自分を変えられる人」
「じゃあ、西野さんの嫌いな人ってどんな人?」
これは、聞く前から答えが解っていたことだ。
「風岡みたいにいつも何かを諦めてる人」
「つまり、西野さんは俺のことどう思っているの?」
「好きなところも嫌いなところもある人。それじゃ駄目?」
「まさか。君が代言うように、俺は自分を変えれたんだ。次は
これは、宣戦布告だ。変わった俺が、変わりかけている人の気持ちを変えてみせるという宣戦布告。
「やってみせな。私にだって機械じゃあるまいし、感情は有るから出来ないとは言わないよ」
「じゃあもう遠慮せずにクラスでも話しかける」
「まあそれくらいなら...とりあえず告白の返事は保留ってことで」
「それは西野さんに任せるよ。当分の目標は"あの二人お似合いだね"って周りに思わせることかな~」
何かため息つかれたけれど、久しぶりに聞くと何故か安心した。
来年こそは一緒に花火が見られたら良いな
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