第16話 罰ゲーム

「零、タイム勝った方罰ゲームな」

「なんで勝ったらなんだよ........」

普通に考えたら、負けた方が罰ゲームで

やる気を上げるものだというのに........

どうもコイツはそれが分からないらしい。

「普通にやったら、俺が余裕で負けるじゃん」

「ですよね」

俺は、別に運動神経は悪くない

自分で言うのもなんだがむしろ良い方だとも思う

"アレ"から逃げたとはいえ

俺の体には染み付いていて、

努力という色は今でも落ちきっていない。

("アレ"を努力か........)

今の俺に、努力と呼ぶ権利はあるのだろうか........

俺の問いは誰にだって届いちゃくれない

いや、届かなくていい........届かないでくれ。

「てことで、罰ゲームはいうことを何でも聞くで」

「強制的に罰ゲームイベントだっけ?これ」

「そうだよ」

そう言って悠は即答した

ハッキリ言おう、クズ野郎である。

(まぁ、たまには良いか)

悠はクズ野郎だが、常識はある

そこまで無茶なことは言わないだろう

........言わない、よな?

「まぁ、良いよ」

「絶対に罰ゲームなのにやるとかドM?」

「俺の温情に感謝しろクズ野郎」

「はい、ごめんなさい」

俺たちがそんな言葉を交わしていると、

罰ゲームは徐々に近ずいてくるのだった。

(アイツ俺が負けるの想定してねぇだろ)

少し、手を抜こうと思ったが

悠に負けるとか絶対煽られるので

一瞬でそんな考えは消し飛んだ。




「んじゃ、次の奴らスタートに着け〜」

相も変わらず、先生は気怠げに言った。

(........あの時のこと、まだ許してねぇからな)

あの時のことは本当に恥ずい

先生の前ですら何故あんなことを言ったのだろう

しかも、バリバリに教室電気付いてたし........

(今は、まぁ良いか)

思考を切り替える........あれだけ言っておいて

悠に負けてちゃメンツが立たない。

「いくぞ〜?よぉ〜い、スタートォ!」

瞬間、俺の足は動き出した

見ている生徒たちも、一緒に走っている生徒たちも

皆、俺に置き去りにされた。

(心地良い)

誰も俺の前に居ない........居させない

邪魔はさせない、誰であろうと

1位俺の場所だ。

「6.23だ、早いじゃないか一ノ瀬」

「まぁ、ありがとうございます」

(こんなもんか)

全く成長していない........

まぁ、努力してなくて現状維持なら充分........か?

「このタイムで不満なら運動部に処されるぞ」

「不満なんて言ってないですよ、先生」

「顔で分かるさ、教師舐めんなっての」

そう言う先生の顔はとても楽しそうだった

全く........こういう時は満面の笑みだよな

いつもは憂鬱そうにしてんのに。

「ほら、早く戻れ」

「そっすね」

さて、早く悠のことを煽ってやろう

どうせ罰ゲームを受けるのは俺なんだ

存分に煽ってやるとしよう

そう思いながら、歩みを進めた。

"無駄になる努力はない"である。


あとがき

皆さんが思ってるであろうこと、それは........

零、チート過ぎない?と。

ぶっちゃけチートです!はい!

過去に起こった"アレ"が無かったら

今頃どうなっていたんでしょう........

まぁ、零はハイスペックになるまでの

しっかりとした過程があるので許して下さい!

その過程も今後出てくると思います

ご愛読ありがとうございます!





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