第6話 非現実的

俺は、朝日奈さんと別れた後

家に着き、傘を閉じていた。

(ちょっと濡れたな......)

1人用の傘を2人で使ったのだから、

当然といえば当然だな。

非現実的な今日の学園の時間と変わり、

家の時間は特に何も起こること無く

時計の針は一瞬のように回るのだった。

そして、空は闇に包まれ始めていた......

(もう......夜か)

勉強も読書も今日は、

全くといっていいほど身が入らなかった

原因は、ただ1つ.........

あの非現実的な現象が、

ずっと、ずっと思考を独占している。

それに、夜桜先輩と朝日奈さんのこと......

歯車が狂い始めている。

何者かの意思を感じるほどに、

まるで、事実を書き換えたような。

(......分かんね)

どんなに時間を掛けても、どんなに頭を捻っても、

俺が出せる結論は何一つ変わってくれない。

(もう寝よ......)

全部、明日の俺に丸投げしてしまおう

今日はもう視界を塞いでしまいたい、

現実から目を逸らしていたい。

(もう知らん......)

俺の頭は回転することなく、思考は止まり

視界は黒く染まっていくのだった......。




「やぁやぁ」

真っ白な空間、美しい女性。

俺は思ったんだよ........

(何処やねんここ......)

非現実的なことが起こり過ぎると、

人間は適応出来てしまうらしい。

「誰ですか?」

「......つまんなぁ、もっと驚けって〜」

そう言って目の前の女性は不貞腐れる

...何なんだよ、分かんねぇな本当.........

「ま、良いか。」

「本当に、何なんですか......」

「"神"に向かって生意気だねぇ〜」

もう驚かねぇぞ…………!

神ってナニ?え?神様みたいな?いやいやい......

「そ、神様で〜す」

「ナチュラルに心読まないで下さい......」

神様って心読めるんか?

なんでもありじゃん神様ってさ.........

(まぁ神ってそんなもんか...)

「信じるタイプなんだ?」

「あんなこと起こったらな.........」

「アッハハ、ごめんねぇ?」

もしかしなくてもさ、今日のアレって

コイツのせいだよなぁ!?

「ざっけんなよぉ!」

「おほほっ、ごめんって〜」

神様だからって、人を愚弄していいと思うなよ!

(めっちゃ頭痛かったんだからな!アレ)

「んじゃあ、本題ね」

「まだ許してねぇぞオイ」

ナニ逃げようとしてんだよ?

神だからって、なんでもしていいわけじゃねぇぞ!

「好感度見えるようになって、どうだった?」

「特段変わらないよ」

何か変わったことといえば......

朝日奈さん......のことは変わったか。

(特段変わらない...ことはなかったか)

「はい、嘘〜」

......忘れてたぁ、心読まれんだったわ

「朝日奈さんのことだけだよ」

「うんうん、良かったよぉ!」

アレ見られてんの!?

神ってズルくないかい!?本当にさ!

「いやぁ相合傘、良かったね」

「気まぐれ。」

俺はそう言って吐き捨てた。

「ま、そういうことにしといてあげよう〜」

「本心なんだが?」

「私に嘘通じないって学習してよ〜」

「察しろや!」

表面上だけでも隠させて!?

神なのに察し悪いなぁマジでよ!

「私に対して容赦なくない?」

「自分のやったことを思い出せ」

「神ってことで許して?」

許せる訳ねぇだろ、本当に痛かったんだからな!

頭痛ってレベルじゃなかったぞ.........

「好感度表示させんのも楽じゃないんだよ?」

「俺がしてくれって何時言った?」

「私が勝手にやったも〜ん」

身勝手過ぎる!

可愛いからって何でもかんでも

全部許されると思ってんじゃねぇよぞ!

......いや、マジで

「でもあれ、毎日痛みくるけど許してねぇ〜」

「......お前こそ学習しろ?」

そんなこと許される訳なくない?

「消せ!一刻も早く!」

「えぇ〜」

「めっちゃ痛いんだからな!」

てか、消したら痛み無くなんのかな?

え?え?大丈夫だよね?

「消したら痛みは喰らわないけどさぁ〜」

「はい!消そう!」

「.........まぁ、良いか」

そう言って彼女は手をかざす、

瞬間、俺は光に包まれる。

「はい、消したよ」

「じゃあこの空間から戻せ、寝させろ」

「マジで私に適当だね!」

神様が不貞腐れんなよ......

意外と面倒臭いなぁ神って

「うわぁ〜それ差別だよ?神様差別ね」

「意味わからん......」

神様差別ってなんやねん。

「で、戻せ」

「はいはい、戻しますよ」

ダルそうに、そう呟いた......

お前が呼んだんやろ!

「たまに呼ぶから」

「神様って寂しいのか?」

「......。」

俺がそう言った後、彼女は黙り込んでしまった...

流石に怒った?生意気過ぎたか?

「君は本当に生意気だよ.........」

「すみませんね」

俺がそう言った瞬間、目の前は白の空間から

黒く染まっていくのだった。

「私は攻略しなくて良いんだよ......」

何かアイツが呟いていた気がするが、

きっと気の所為だろう。

(マジで、どうなってんだよ......この世界は)

俺の平凡な日常は神様の気まぐれで、

いとも簡単に崩れてしまうのだった......。

"「当たり前」とは 「有り難い」ことである"


あとがき

ご愛読ありがとうございます。

今回は好感度に対しての詳細の回でした

神様の名前は今のところは秘密で......。

好感度が見える代わりに激痛が走るので

永久的に見えるようにするには、

毎日のように激痛に耐えなくてはいけません

割とマジで地獄だと思います。

神様もあんなこと言ってましたが、

好感度を非表示にするつもりで

あの空間に呼んだと思います。

神様は基本的に孤独なので、

零に気さくに話しかけてくれて

嬉しかったと思います。

それにしてもチョロ過ぎですが.........

今回は短くまとめ過ぎた感じあるので

分からなければ指摘お願いします!

これからも応援よろしくお願いします

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