第5話 本当の自分

朝日奈雫、彼女は典型的な優等生だ。

男女ともに笑顔を振りまく......そんな美少女

下心丸出しの男子を前にしても

彼女の笑顔の仮面は外れない

そんな自分を押し殺し無理をしている彼女が、

『気に食わなかった』


「何で、私を傘に入れてくれたんです?」

2人の鼓動が聞こえる、そんな距離で

歩きながら校門を出た辺りで、彼女は

そんな疑問を問いかけた。

「ただの気まぐれですよ」

彼女を前にして、多少カッコつけてしまったが、

気まぐれだと言うのは間違いない。

「そう......何ですか?」

「意外ですか?」

「いえ......何と言うか、その......///」

(まぁ朝日奈さんと

お近ずきになりたい男子は居るわな)

そういう男子を見て、失望しているのは

間違いないだろう。

フラッシュバックするのは

俺が前見た朝日奈さんへの男子の絡み方、

......控えめに言って吐き気がする。

俺もそうやって見られている...というのは

(ちょっとはショック......かもな)

『全然違うわ!By作者』

「一ノ瀬君は、違うんだなぁって......」

「隠しているだけで、そうかもしれませんよ?」

「そういう人は、自分を卑下しないですよ」

そういうものなのだろうか?

まぁ、好きな相手の前で、

自分を下に見せたくは無いか...。

「大変...って感じないんですか?」

「うぅ〜ん、たまには思いますよ?」

(俺なら、絶対に耐えられないな)

本当の自分など見ておらず、

外側だけの自分を見て、ください心で

自分に近ずいてくる......そんなのってないだろう?

「無理...してないんですか?」

「うぅ〜ん、分かりません......」

そう言う彼女は、とても儚く見えた。

「でも少し、疲れたかもしれません......」

壊れてしまいそうな......そんな気がした。

(あぁ、悲しいな......)

無意識的に、そう思った。

「無理...しなくて良いんじゃないですか。」

「無理なんてしてないですよ、これが私です!」

あぁ......やめてくれ、

そんな貼り付けたような笑顔をしないでくれ。

「じゃあ、何でそんな顔してるんですか......!」

「...ッ!別に、なんでもないですよ!」

そんな訳ないだろう!?

何でそんなに自分を犠牲にするんだよ!

俺が、こんなことをする義理はない......

あぁ、きっと俺はムカついてるんだ

優しいこの子が仮面で笑い、

下心丸出しのゲスが本心からの笑顔で笑っている。

そんなの......そんなのってないだろう?

「なんでもない訳ないだろ!」

「本当に大丈夫なんですよ!」

ヒートアップしていく、

雨で少しは濡れ、寒い筈なのに

俺たちは一切として、寒いと感じない。

「初対面だが、言わせてもらうが!

君は仮面を被りすぎだ!もっと自分を大切にしろ」

「そうですよ!優等生ぶってます!」

やっと認めたか、早く認めれば良いものを......

アレ?ちょっと待て、俺は何してるんだ?

(もしかして俺......やらかした?)

「......すみませんでした。」

「きゅ、急に!?」

マジでやらかした......何やってんだ俺

初対面でこんなことして、

詰んだわ、お疲れ様でした。

「許して下さい......」

「ぜ、全然大丈夫ですよ?

久しぶりに自分の本音で話せた気がしますし!?」「そ、そうか......?」

いや、騙されねぇぞ。

初対面に説教垂れたヤバい奴だぞ俺......

「じゃあ、一ノ瀬君の前では

本当の私で居させてくれませんか?」

「あぁ全然!寧ろ大歓迎ですよ」

「......敬語禁止です。」

(それはズルくないか?)

いや、俺が言えることじゃないんだけどね?

距離感がバグじゃん!?それはさ......

「......大歓迎です」

「全然してないじゃないですかぁ(笑)」

..何だか、おかしくなってしまった気がする.........

ただの興味本位だったというのに!

「これから、よろしくお願いしますね?」

「......徐々に慣れていくから許して下さい...」

「まぁ、いきなりはちょっと早すぎましたしね。」

「よろしくお願いします!」

そう言う彼女の笑顔は、

雨が上がった後の虹よりも綺麗だった

"友人に本心を伝えることは、

二つの相反する結果をもたらすということである。それは喜びを二倍にし、

悲しみを半分に切りつめるからである"


あとがき

ご愛読ありがとうございます。

今回は、朝日奈さんとの接近回です

何故こんなにも会話がスムーズなのか?

それは、朝日奈さんの好感度が正しいからです。

あんなに好感度が高いんですから、

自然と本音も漏れてしまうと思います。

最初隠していたのは、

『カッコ悪いところ見せたくない......』という

朝日奈さんの想いからです。

ですが、朝日奈さんとしては

全然交流が無かった零と話せて、

めっちゃ幸せだったと思います。

これからもよろしくお願いします

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