第4話 マインドコントロール

 さすがに50代のおじさんに、大学生の女の子、つりあうわけもなく、

「世間話程度で、今日限りの仲、いわゆる、

「一期一会」

 となるだろう。

 くらいのものだった。

 そもそも、

「この年になれば、出会いなんか、あるはずがない。あったとしても、金銭が発生するものだろう」

 くらいにしか思っていない。

 特に若い子と仲良くなろうとするには、

「何らかの金銭は必要に違いない」

 ということであった。

 実際に、会社の人の中には、若い女の子と、

「金銭関係を結んで、仲良くしている」

 という人もいる。

 いわゆる、

「パパ活」

 というものらしいが、

「何が楽しいというのか?」

 と考えてしまうのだった。

 さて、自分はさすがに、そんなことはしないと思っている。

 そこまで好きな人もいないし、どうなのだろう?

「パパ活」

 などのように、

「始めよう」

 と思ってから女の子を探すということもあるだろうが、

「可愛い女の子がいて、その子のために何かをしたい」

 と感じることもあるだろう。

 その場合には、

「どのような心境になるのか?」

 ということを考えてみたりしたが、どうすればいいというのだろう。

 さて、つかさという女の子が、こんなに積極的だとは思わなかった。

 ほのかと似ているということで、どうしても、ほのかを意識してしまうのだが、ほのかの場合は、気が強いところがあって、それだけ、精錬実直だったのだ。

 つかさの場合は、

「世代が違う」

 ということもあり、明らかに違っている。

「おじさんは、どうして、私をじっと見ていたの?」

 と、聴き方も、ド直球だ。

「あっ、いや、実は昔私が大学時代に付き合っていた人と似ていたものだから、思わず目が行ってしまったんだよ。申し訳なかった」

 というと、彼女は、大げさなリアクションで、

「へえ、そうなんだ。なんだか嬉しいな、見つめられるのって、嫌な気はしないわ。よほど相手がキモイ人でなければね」

 と、つかさはいう。

 それを聴いて、

「ほう、じゃあ、僕はキモイというわけではなかったということかな? それなら嬉しいな」

 というと、彼女は微笑みながら、

「大丈夫ですよ」

 と言ってくれたのだ。

 晃弘は、有頂天になりかかっている。

「している自分が見ても、キモイと思うようなことを、当の本人がキモイと思っていないということは、これほどうれしいこともない」

 と、感じた。

「ところで、おじさんは、今、奥さんとかいるの?」

 と聞かれて、

「いや、いないよ。いまだに結婚歴がないんだ。気持ち悪いだろう?」

 と、若干自虐的にそういった。

「そんなことはないわ。きっと、おじさんに遭う女性がいなかったんでしょうね?」

 と言われて、今までの女性遍歴を思い出していた。

 確かに、自分に似合うような女性もいなかったような気もする。社会人になってからは、数人の女性と付き合った。

 中には、

「結婚を前提に」

 という人もいて、実際に、その気になっていて、結婚するつもりでいたのだった。

 だが、やはり合わなかったというのが正直なところか。どうしても、寄り添うことのできないところもあった。

 特に相手が、

「いつも一緒にいないと嫌だ」

 という人で、

 たとえば、

「一緒に食事に行った時でも、先に来た方が、先に食べるなんて、もっての他で、もう一人の分が来るまで待たなければいけない」

 という感じで、どちらかというと、

「昔気質の考え方」

 をする人だったりするのだ。

 そして、基本的に、

「二人は平等」

 という考えが強く、女性も男性に気を遣うということを考えている人だった。

 だから余計に、どちらかが、我に返ると、うまくいかなくなる可能性が高いということだったのだ。

 逆にいえば、

「二人の時間が、まず最優先で、そこからプライベイトだ」

 と思っている。

 元々の晃弘の考え方はそうではなく、

「お互いに自分の考え方が一番で、それから、共通の時間を模索する」

 という考え方である。

 それだけフリーな考え方であり、余裕のある考えだと思うのだった。

 しかし、その彼女は、まずは、二人の時間。そこから、お互いの時間ということで、根本的な考えが違っていたのだ。

 それでも、晃弘は彼女に、歩み寄りを見せ、自分の中で、

「無理しているのかも知れない」

 と思いながらも、実際には、

「どうすればいいのか?」

 ということが分からなかったりする。

 それでも、

「惚れたものの弱み」

 ということで、その女性を一番に考えていたのだが、それでも、

「まだ足りない」

 という。

 最高に歩み寄ってみたが、結果、お互いに無理がたたり、別れなければならなくなってしまう。

 その理由が正直分からないということで、晃弘は、戸惑いながらも、

「毎日、精神状態が違う」

 ということで、考え込んでしまうという日々が続いたりした。

 ということは、

「自分で自分が分からない」

 ということになる。

 特に、その要因が相手の言動と行動にあったりすると、どうしていいのか分からないというのも、当たり前だといえるだろう。

 だから、この時の彼女とは、最後、別れ方もどんな感じだったのかということすら、意識していなかったから、記憶にも残っていなかった。

 ただ、一つ言えることは、

「俺は、必死になって、結婚を考えていた」

 ということだった。

 相手の圧が強かったというのもあるだろう。

 それを考えると、

「俺がもう少ししっかりしていれば」

 と言えなくもないが、逆にいえば、

「そんな女と結婚しなくてよかった」

 ということだと思うのだ。

 さらに、次に付き合った女は、もっとひどかった。

 マインドコントロールをする女性で、最初は知らなかったのだが、どうやら、

「精神疾患のある女性」

 だったようだ。

 詳しくは知らないが、本人曰く。

「指定精神病」

 ということで、

「障害年金も貰っている」

 と言っていた。

 要するに、それだけ、

「私は病気だから」

 ということを強く言っていたのだ。

 だからなのかも知れないが、

「私と付き合うのは、それなりに覚悟がいる」

 とは最初から言われた。

 だが、甘く見ていたのか、

「ああ、分かった分かった」

 という程度に受け流していたのだったが、相手とすれば、

「これじゃあ、とってもじゃないがダメだ」

 と思ったのだろう。

 いろいろ試してみるようなことはしていた。

 街で、ちょっとしたチンピラを怒らせてみたり、警察官を刺激してみたりしているのだが、晃弘としては、

「まあまあ」

 と言って、なだめるくらいしかできなかった。

 彼女の方も、その状況が分かるようになってきて、どんどん、晃弘にいろいろな注文を付けるようになっていた。

 さすがにその頃になると、

「これはヤバイ」

 と思いかけたが、時すでに遅かったのだ。

 女は、家族ともグルなのか、それとも、誰か後ろについているのか、二人がちょっと喧嘩になって、彼女が、どこかに行ってしまったのをいいことに、彼女のケイタイ電話からメールで、

「お前はどこどこにいるよな?」

 と、まるで見張られているかのように言ってきた。

 彼女の姿はまったく見えない。しかも、文面は明らかに男だった。

 とはいえ、ケイタイの文面くらい、いくらでも代えることくらいできるというものだ。晃弘としては、背筋が寒くなってしまい。次に何を言われるかということが怖かったのだ。

 そういえば、彼女から、一度親切から、ポータブル音楽再生機を借りたことがあり、彼女の好きだというアーチストの音楽が入っていて、

「私、このアーチストが好きなの。今度聞いてみて」

 と言われ、預かっていた。

 別に晃弘にとっては、好きでも何でもないアーチストだ。

 言ってみれば、

「預かったはいいが、有難迷惑だ」

 ということなのだろうが、その女とすれば、

「せっかく、薦めているのに、聴いてくれないというのは、どういうことなの?」

 ということなのだろう。

 ただ、これは、興味のないものを聞かせるというのは、ある意味、

「押しつけ行為に過ぎない」

 と言ってもいいだろう。

 だが、そのことを、女はお構いなしで、男が聴いてくれないのを、

「男が悪い」

 と思う方だったのだ。

 そこで、

「お前は、彼女から預かった音楽を聴いていないだろう」

 という文面だった。

 ここで初めて、彼女以外の誰かが、そのケイタイに絡んでいるということが分かったのだった。

 それで、晃弘は怖くなった。

 女一人なら、まだしも、

「そのバックに得体の知れない男がいて、さらに、普通なら誰にも分かるはずのないようなことを、どうして分かるのだろうか?」

 ということであった。

 その男は、何でも分かるようだった。

 それで、晃弘は完全に浮足立ってしまった。

「どこで誰が見ているか分からないような気がして、それこそ、壁に耳あり障子に目ありだ」

 ということを感じるのだった。

 さらにそれだけではなかった。

 彼女の父親が、絡んでくるのだが、最初は、彼女が自分の親に、

「結婚を前提に付き合いたい」

 ということで顔見世のようなことをしたのだが、そこで両親は喜んでくれて、一緒に食事を摂るなどと言ったこともしてくれ、

「両親公認の付き合い」

 ということになったのだ。

 そのうちに、父親が、

「自分は会社を営んでいるので、いずれは晃弘君に、副社長になってもらって、会社を支えてもらいたい」

 ということをいうようになって、

「まずは、その支度金として、50万円ほど、出資してほしいんだけど」

 ということだった。

「会社の役員ということになれば、2年で、戻ってくるし、そこから生まれた利益はすべて君のものだ。しかも、その時には、会社の取締役という肩書もある」

 と言われ、

「お金ないんですが:

 というと、

「ローンを組めばいい」

 ということで、サラ金のようなものに手を出させたのだった。

 ただ、元本が少なく金銭的にも何とかなっていたので、

「これで、大丈夫」

 と、ほとんど強制での借金だった。

 だが、そのうちに娘との間がギクシャクしてきた。

 例の、バックにいる男からの、脅迫めいたメールで、ほとんど精神が病んでしまった晃弘は、

「もういっぱいいっぱいだ」

 ということで、彼女が何かをしてほしいと思っているのだろうが、それも分からず、結果彼女から愛想を尽かされて、そのまま、自然消滅という形になった。

 報復があるかと思ったが、それはなかったので、よかったのだが、そのことを父親が知って、

「うちの娘と結婚してくれるんじゃないのか? そう思って君に期待していたのに」

 ということで、当然会社の話もなしになり、結局残ったのは、

「借金だけだ」

 ということになってしまったのだ。

 晃弘は、

「もうどうしようもない」

 ということで、借金を返し続けて、とりあえず、3年のローンだったので、何とか返すことができた。

「本当に、どういうことなんだ?」

 と言ってもいいだろう。

 結局、

「俺は、マインドコントロールを受けて、借金を背負わされ、お金を騙し取られたということになるのか?」

 ということであったが、証拠もないし、すべて自分からしたことだったので、どこにも何もできなかった。

 ただ、

「マインドコントロールというのは、怖いな」

 ということになるのであった、

 確かに、こんな話は稀かも知れないが、一定数はあることだろう。

 晃弘のような男はきっと騙されやすく、

「もう一度似たようなシチュエーションとなっても、同じことをするかも知れない」

 と、自分自身でも感じるのだった。

 そういえば、最近の事件でも、似たような話があったではないか。

 と言っても、シチュエーションはまったく違う、似ているというのは、

「マインドコントロール」

 というキーワードだけだった。

 その事件というのは、

「ママ友」

 と言われる集団の中で起こったことだった。

 全国的なニュースにもなったので、知っている人もたくさんいるだろう。

「ああ、あの事件」

 ということで、ピンとくる人も多いはずだ。

 何と言っても、一人のオンナが、ママ友の一人を完全にマインドコントロールして、生活までも、管理し、金をだまし取っていたというのだから、悪質極まりないというものだ。

 これが警察沙汰になり、世間をどうして騒がせることになったのかというと、

「この母親が、子供に食事を与えず、餓死させた」

 ということから、この状況が明るみに出たのだ。

 その時、ママ友と言われる女は、完全に家族の生活管理もしていた。

 晃弘の時と同じように、

「バックには、怖いお兄さんたちが控えている」

 ということを臭わせて、相手に恐怖を与え、その思考能力をマヒさせるというやり方だったのだ。

 晃弘も完全に、その手口に引っかかっていた。

 知らない人間に見張られていると思うと、何もできなくなり、すべてが疑心暗鬼となってしまうと、本当に何を信じていいのか分からなくなり、

「信じられるものは、まったくなく、

「一番信用できないのは、自分なんだ」

 ということを思い知らされるかのようだった。

 この母親も、同じような恐怖に見舞われ、コントロールされる中で、凶悪な女が、たくさん金を搾り取るために、ギリギリの食費しか持てるようにはしていなかったのだ。

 警察も、その女が、金をだまし取っているという証拠を持っているから、検察として、起訴することになったのだろうし、裁判ともなったのだ。

 そして、裁判となったが、最初は母親の裁判だった。

 もちろん、有罪ではある、

「実行犯」

 であることに間違いはないし、情状酌量はあったとしても、食事を与えないというのは、罪以外の何者でもない。

 問題は、ママ友の方だった。

「マインドコントロールとの因果関係があるかどうか?」

 ということが問題となった。

 審議が進む中で、判決が出たのだが、実行犯である母親よりも重い罪という、

「正当な判決だった」

 さすがに、世間のほとんどの人は、この判決を大いに評価したようだったが、マインドコントロールをしたこの女だけは、

「無罪を主張して、控訴した」

 のだった。

 その後は、まだこれからなのだが、何とも、

「憎まれっ子、世に憚る」

 ということになるのではないか?

 ということを言っている人もいるようだった。

 とにかく、

「マインドコントロール」

 いわゆる、

「洗脳」

 というものは、これ以上、ひどいものはないと言ってもいいだろう。

 晃弘は、そんな裁判を見ていると、

「昔の自分」

 を思い出す。

 昔と言っても、15年くらい前なので、自分としては、そんなに前だという意識はない。

 なぜかというと、その時の恋愛で、

「俺はこれが最後だ」

 と思っていたので、かなり執着してしまった。

 もっと若い頃だと、そこまで執着することはなかっただろう。

「別に、タイプな女というわけでもなかったしな」

 と、実は、マインドコントロールの前に、すでに、この女とは、このまま結婚しなくてもいい。

 いや、しない方がマシだ。

 とすら思っていたのだった。

 そのことを、最近になって、思い出すようになった。

 というのも、

「俺のタイプのオンナってどんな女なのだろう?」

 と考えるようになったのだ。

 だから、最後には、ボロボロにされてしまったが、それはそれでよかった。

「あのまま洗脳され続ければ、気が狂っていたかも知れないな」

 と感じたからだ。

 それにしても、本当にマインドコントロールというのは恐ろしい。

 自分では、人に操られているという感覚はなかったのに、実際にやってみると、このような形になってしまうなんて、何とも恐ろしい結末だといえるだろうか。

 結局、うまくいかなかったことで、

「俺は、もう女にうつつを抜かすのは、こりごりだ」

 と思うようになって。借金を返しきるまでは、ある程度は我慢していたが、返し終れば、その分のお金が浮くわけで、身体だけであれば、

「風俗で十分ではないか?」

 と思うようになった。

 そもそも、心まで求めてしまうから、あんな危ない目に遭うことになるんだ。

 だったら、お金さえ払えばあと腐れなく、しかも、喜んで、

「ご奉仕」

 してくれる風俗であれば、それに越したことはないわけだ。

 特に風俗ともなると、こちらの欲望に適うシチュエーションをしてくれる。

「コスプレ」

「ソフトSM」

「アダルトビデオの企画もの」

 と言ったシチュエーションも、女の子が可であれば、やってくれるというものだ。

 しかも、女の子には喜ばれ、こちらも楽しめる。これほど楽しいことはないだろう。

 下手に恋愛を求めると、お互いに腹の探り合いになったり、お互いのわがままがぶつかりあったり、さらに、願望が叶わないと喧嘩になったりなど、日常茶飯事である。

 それを考えると、

「俺のような、年寄りが、若い子と仲良くなるには、お金が絡まなければならないのだが、逆にいえば、お金さえ出せば、たいていのことはしてもらえるというものだ」

 特に、最近の風俗は昔のように、

「嬢になったのは、親の借金とかいうみじめなものではなく。女の子が進んでくるものだということから、本当にお互いの気持ちが、その時間だけ盛り上がる」

 というものだ。

「一般的な恋愛の方が、打算的になったり、ただ、素人ということだけに惹かれてしまって、ロクなことにならないだろう」

 と言えるのだった。

 中には、同じお金を払うとしても、素人感覚がいいということで、

「チョンの間」

 などと言われるものを所望する人もいるだろう、

 いや、そっちこそ、プロではないか?

 という人もいて、要するに、どこから入るかは、個人の好みだということになるのである。

 そんなことを考えていると、

「マインドコントロールされるよりは、何ぼかマシだ」

 というものである。

 そんな状態において、一度は、他人からマインドコントロールを受けて、

「人間の恐ろしさ」

「オンナの恐ろしさ」

 を知ったはずで、だから、

「もう、二度と女性を好きになったり、愛したりということはないだろう」

 と思ったはずだった。

 だから、そのことは、風俗に通って、

「お金を出して、それで満足できればそれでいい」

 と思っていたのだ。

 それも、性欲が許す限りであり、年齢を重ねていくと、その性欲というのも、次第に衰えていくに違いないと思うのだった。

 ただ、今のところは、まだまだ旺盛で、お金を払ってでも、解消できれば、それでよかったのだ。

 そのはずだった。風俗にお金を使っても、何ら、罪悪感はなかった。それよりも、

「彼女のためにと思って金を使っても、結局、裏切られたりするのであれば、自分がきついだけだし、下手をすれば、仕事にも手がつかなくなって、自分の人生を潰すかも知れない」

 と考える。

「しかし、風俗では、裏切られることはない。なぜなら、お金が絡んでいるからだ。お金だけの関係だと、色恋沙汰は、そのお金で拘束した時間だけのことだ。人によっては、ストーカーになるというようなことをいう人もいるかも知れないが、恋人関係が拗れた時の方が、よほどストーカーの可能性はあるのではないか?」

 と思うのだ。

 しかし、風俗嬢に対してストーカーになるというのは、完全に、勘違いをしている人間のことであり、

「自分は、世間一般にはモテない」

 ということが分かっていて、風俗嬢になぐさめてほしいから、お金を払ってまで来ているのだ。

 だから、女の子は、お世辞の一つや二つは平気でいい。しかも、

「自分の常連客になってもらおう」

 と思うのだから、過剰に相手を褒めたりするだろう。

 すると、相手もそこで、

「俺はモテているんだ」

 と勘違いをしてしまう。

 しかも、他のオンナにモテないのが分かっているのだから、必死になって、風俗嬢をつなぎとめようとする。

 ただ、それは、彼女の優しさが、却ってあだになるのであって、片方では、

「常連になってもらって、お金を踏んだくろう」

 と思っている人と、勘違いをしている男とが気持ちの上で、争うのだから、平行線なのは当たり前のことである。

 もちろん、男も女も皆が皆、そうだとは言わない。

 男も、紳士的に遊ぶ人もいれば、女の子も、

「せっかくお金を払って、私を選んでくれているのだから、精いっぱいのご奉仕をしてあげたい」

 と思っている人もたくさんいる。

 それが、本来の姿であり、あまりにも極端な例ばかりが起こるわけではなく、このような気持ちになった人の犯罪を起こす可能性が高いということなのかも知れない。

 男の中には、

「もう、彼女と一緒になればければ、生きていても仕方がない。一緒に死んでもらおう」

 と考える人もいるだろう。

 女の子の方とすれば、溜まったものではない。

「何とか逃れる方法を考え、男の事なんて、考える余裕もなく、この状況になると、何があったとしても、悪いのは、男だ」

 ということになるであろう。

 だから、どうしても、風俗というのは、危険が背中合わせというのは、よく言われる。しかも、風俗遊びをする連中に、変質者が多いというのも確かなのか、そのせいで、真面目に遊んでいる人間が、偏見の目で見られたりする。

 基本的に、法律に守られた仕事であり、遊びなのだ。犯罪が多いかも知れないと言って、取り締まりは厳しくしても、業界を潰してしまうというのは、危険が伴うということになるだろう。

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