②つまらない

どうしてつまらなかったのか。

それは、古いからです。


この作品の各節末にはいつも、

(一部例外もありましたが)

『明治39年十月』というように

創作時期の表示があります。


西暦にして1906年。

もうちょっとすれば大正です。

この時期の日本はまだ

不平等条約を撤廃していません。


その時代の「あめりか」は、

日本人には目新しいさばかりで

出版当時の読者には目を回すほど

面白い小説だったかもしれません。


だから現代まで

荷風先生の代表作として

評価が保存されているのでしょう。


ですが、現代の我々が読むと

「ああ、うん、そうだね」って

素っ気ない反応しかできません。


明々白々なことを書いてるようで

驚きは魚の瞬きほどでした。


『あめりか物語』の主軸は、

 あめりか探訪の記述の他にもう一つ、

「堕落」への願望の描写があります。


大学を中退した者、

妻を寝取られ気を病んだ男、

風俗嬢に身を落とした少女、

DV婦人に惚れてしまった男、

皿洗いに堕落したお坊ちゃん・・・


そして先生自身も、

「堕落したい」という悪魔の声に

徐々に惹かれていくのでした。


ですが、先生は堕落する前に

フランスに引っ越して終わり。

自身は堕落を免れ、

次の舞台へと進んでいく構成。


他の人物のだいたいの破滅の流れは、

⑴欲望に溺れる。

⑵地位や名誉を失う。

⑶もう戻れない。

・・・っうーん、ありふれた悲劇なのでは?


つまらない、というのは、

あくまで、

すなわちこの作品を

読んだときの感想でございます。


では、沿

すなわちこの作品を

読むときの面白さは次ページで。

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