倉庫整理
孤児二人に構いながら魔道具店も運用している僕はなんかいつの間にか多忙の日々となっていた。
「んっしょ」
そんな日々の中で今日。
魔道具店が定休日のこの日に僕は一度、魔道具店の倉庫整理を行っていた。
既にこのお店を開店して一か月。
僕が無秩序かつ無計画に魔道具制作を進めているせいですでに倉庫はパンパンで、なおかつ絶対に要らないものなんかが普通に倉庫内部に転がっているのだ。
食材を虹色に光らせるための魔道具とか一体何のために作ったのだ?
当時の僕は気でも狂っていたのだろうか?
「ノアさんっ!この道具は何処に持っていけばいいかしら?」
「あぁー、うん。それは要らんから捨てておいて」
倉庫の片付けのお手伝いをしてくれているレーヌの言葉に僕は頷く。
「えっ……?要らないの?ずいぶんと高そうだけど」
「うん。要らない。捨てといて」
「わかったわ」
レーヌが持っている魔道具は特に意味もなく作って、結局使い道などなく売れる見込みも一切ないやつだ。
思い付きで作るのはやっぱりよくないね。
「ノアお兄ちゃん!」
「んっ?」
レーヌと応対していたところ、今度はミリアから呼ばれた僕はそちらの方へと視線を向ける。
「こっちの方は捨てていいかな?なんか、がらくたに見えるけど」
「あっ、それは一応の残しておいて」
「えっ……?これを残しておくの?なんかぼろ雑巾みたいに見えるけど」
「いや、でもそれの制作費ってば白金貨一枚くらいするから……それに効果のほども」
「ミ゜ッ!」
僕の言葉を聞いたミリアは体を震わせて動きを止める。
「の、の、ノアお兄ちゃん!?私はどうすればいいかな!?」
「ん?普通にそこらへんにおいておいて。耐久力もあるから。それに壊れても最悪……別に使われる機会があるともあまり思わないし」
「じゃ、じゃあ、なんでそんなものに白金貨一枚もかけているの!?」
「いや、興味で」
「きょ、興味!?の、ノアお兄ちゃんってばもしかして馬鹿なのっ!?白金貨一枚もあれば一生暮らせていけるよ!そ、それなのに……なんてもったいない!あまりにもお金の使い方がずさん過ぎるよ!まったくもぉー」
いや、流石に白金貨一枚で一生というのは無理じゃないかな?
その答えはあまりにもスラムの孤児としての価値観に染まりすぎているような気もするよ。
「……聞いている?」
「うん、聞いているよ」
予期せずとしたやってきた多忙の日々。
だが、その苦労を労ってくらうかのように孤児二人は僕に懐いてくれている。
ふへへ、これで将来の金は大丈夫そうだな。
「もー、お金ってば大切なものなんだよ?それなのに適当な感じで扱って……もー、信じられない!」
自分の目の前でぷりぷりと怒っているミリアをぼーっと眺めながら、僕は内心でそんなことを考えているのだった。
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