魔道具店
自分が拵えた魔道具店。
建物としては二階建てとなっており、一階はお店、二階は僕たち四人が暮らすための空間となっている。
「おぉー!一人一人個別の部屋まであるじゃねぇか。えええやん、ええやん」
「ふぉぉ!」
「こ、ここまでしてくれないとも良かったですのに……これさえなければもう少しお金も残ったのでは」
「良いんだよ、部屋くらい。建物自体は僕が魔法で建てているし、家具類もそこまで高価なものじゃないから」
僕は困惑するトアの言葉に軽く答える。
建物代はそこまでかかっていない。
「それに、金銭面で言ったら僕が購入した様々な魔道具や素材を考えると微々たるものだからね!」
自分が魔道具の為に使い込んだお金はみんなの想像を絶するようなものだろう。
当主だった時を考えても珍しいくらい一気に金を使った。
「ふへへ、これからの日々が楽しみだよ」
「……まぁ、ご主人様が楽しそうなのであればよかったです」
「そうでしょー?ということで、お金の工面は任せたよ。僕は利益度外視で動くから」
「はいっ!お任せを!」
僕の言葉へとリスタは勢いよく頷く。
「まぁ、でも冷静に考えてノアがそれだけの材料を揃えて魔道具を作れば売れるんじゃね?儲けの出ない未来が見えないのだが」
「……それも、そうなんですよね。私たちがほんとうにいるのかは疑問が残るところです」
「いや、多分だけど僕が作る魔道具、レベルが高すぎて需要ない気もする。自分はどこまで行っても貴族で、その物差しを使って考えるからね」
「よし、私がちょくちょく作って欲しいこと言いに来るから頼むね」
「ん?まぁ、いいよ。君が言うのなら他の冒険者も必要だろうしね」
僕はクルスの言葉に頷く。
それくらいなら何の問題もない。自分だけで考えていくのも良くないしね。
「まぁ、やることはそんな難しくないからいいよ。最悪のところ、金なくても狩猟で何とかなるから」
別にそこら辺から魔物を狩って生活することくらい問題はなく出来るだろうしね。
「まぁ、確かにそうね。私も基本的に金ないからそんな生活ばかりだったしな」
「私たち獣人はその生き方をしていたからね」
「……うぅ、わ、私も、問題なく。えぇ、そのような生き方も出来ますよ、えぇ」
トアはちょっとダメそうかもだけど。
まぁ、でもいずれ彼女の方も慣れるでしょう。いくら貴族といえどもね……いや、別に僕も元貴族だけど。
「まぁ、おいおい考えるのはあとでいいのさ!まずはこれから始まる新生活に対して、ドキドキを持っていればそれで十分だよっ!」
ともかくとして、自分たちが今思うべきはそれだろう。
僕は三人の前で意気揚々と告げるのだった。
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