お風呂
宿の中に一つの桶を置いてそこにお湯と全裸に剥いたリスタを入れて。
「にゃぁぁぁぁぁ」
僕は彼女の体を洗ってあげていた。
長らくお風呂に入っていなかったのか、その匂いとしてはかなりのものであり、風呂が急務であった。
桶にお湯を入れて体を洗うだけのこれが風呂なのかは怪しいが。
「……い、いくら何でも洗われるのは恥ずかしいのだけどぉ」
そんなこんなで今、僕に洗われているはリスタこちらの方へと視線を送りながら、恥ずかしそうに声を上げる。
「気にしない、気にしない。年齢も離れているだろうしさ。僕は現実のロリに手を出すほど文明がないわけじゃないよ」
イエスロリータ、ノータッチ。
これが一般通過オタクの基礎理念であろう。
神聖にして絶対であるロリにたかが穢れた文明人が触れていいわけがないのである。
「わ、私は見た目ほど幼くないよっ!」
「何歳よ?」
「こ、これでも十六なのよ?」
わぁーお。
「……同い年だったわ」
全然年が離れていなかった。
「ほらっ!?やっぱりだめじゃん……えっ?というか十六歳?」
「そうだよ。これでも色々な経験をしているからね。ちょっと上に見られるかもしれない」
「色々な経験……?というか、ご主人様は一体どういう立場の人間なの?あれだけたくさんの金貨をもっていたし、もしかしてとんでもなくすごい人?」
「元貴族、それも当主だぞ。圧倒的にすごい人だ」
すごいかすごくないかと聞かれれば圧倒的にすごい人であろう。
「……当主?その年齢で?」
「うん、そうだよ。即位したのは史上最年少に近かったよ」
「いや……本当に当主だとしたらこんなところで油を売っていていいの?」
「ん?普通にクーデター起こされてな。今は別にもう当主でも、何でもない。というか、最初に元って言ったよね?」
「あっ……ごめん、変なことを聞いちゃって」
「いや、全然構わないから大丈夫だよ」
「いや、なんで?」
「……」
確かに、クーデターで立場を追われているのに大丈夫ってだいぶ変だな。
「まぁ、そんなことより君の村の話でしょ。敵は何なの?」
僕は話題を逸らしてリスタへと疑問の声を投げかける。
「……わからないわ。でも、かなり規模は大きいはずよ」
僕の疑問に対して、一気に神妙な面持ちになったリスタはそのままゆっくりと言葉を話していく。
「どれくらい?」
「そもそもとして私たちの村は結構大きいのよ。まず、村の人たち全員の魔力回路を一気に壊せるって、結構すごくない?それに、獣人の種族特性として先天的に身体能力が高いってのもあって魔力回路が壊れても結構戦えるのよ」
「村人の数は?」
「数千人くらい」
「おぉう。それはかなり大きいな。それを相手に敵対出来る……か、本当にデカいな」
獣人数千と戦闘するのは結構想像したくないかもしれない。
相当な金がかかることだろう。
これだけ大きな金をかけても利益を出せると考えると、敵が強大な組織であるということは間違いないだろう。
「そう、そうなの……それでも、私たちだってかなり抵抗してて。今も村ではみんなが抵抗しているはずなのっ!わ、私は情けなくて……周りより一足先に相手へと捕まって、このざまだったんだけどぉ」
「このざま?」
僕はリスタの言葉に疑問で返す。
「元当主である僕の助太刀を得ることに成功したわけだ。当主としての僕は素の実力もトップクラスだぞ?中々にとんでもないことをしていると思わないかね?」
「そう、そうかな?」
「あぁ、そうだとも。僕という存在を引き寄せた君という存在の功績は大きいとも」
僕はリスタの言葉へと力強く頷く。
「……なら、お願い」
それに対して、リスタは真っすぐにこちらへと視線を送りながら口を開く。
「私の村は、今。人間たちの襲撃を受けて今日も誰かが被害を負っている。私のように、奴隷として売られた人も数多くいて……それでも、私の村は自分たちを守ろうと必死に戦っている。私も、故郷と同じくする仲間として、力になりたい。村を助けたい……でも、私は弱くて。だから、どうか……お願い。私の村を助けて」
そして、リスタは瞳に涙まで浮かべた状態で僕へと懇願の言葉を告げる。
「……なんか、全裸で体を男に洗われながら故郷を憂いて涙を浮かべるって図。結構おもろいな」
それに対して、僕は思わず全然関係ないことを口から漏らしてしまう。
いや、でも仕方なくね?
体に泡をつけている全裸の少女の言葉だよ?あれが。ちょっと面白いじゃん。
「いやっ!?この、状況を生んでいるのはご主人様だよねっ!?あと!今さらになってやっぱり全裸であることの羞恥心がぶり返してきたよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおっ!ご主人様って結構鬼畜!ドSさんだよぉっ!?」
「ごめん、ごめん。いや、村の方は助けるから」
「それはありがとうだけど……だけど、だけど、何だかなぁ!恥ずかしいよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!」
そんな僕の言葉を受け、リスタは乳房などの己の体の大事なところを手で隠しながら涙目で切実な声をあげるのだった。
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