平凡な俺には理解できない
その日のうちにルナとステラに連絡をする。
内容は、「明日か明後日集まれないか?」である。
ステラからの返事はすぐに返って来た。「両方大丈夫です」だそうだ。
ルナは、「ソル君から誘ってくるなんて初めてだね!嬉しい。遊びの誘いかな?」と返してきた。
言われてみれば初めて誘った気がする。
いやだってな、そうそう誘えないだろ?
それはともかくとして、「日曜日なら大丈夫だよ!」とルナから再び連絡が来たので、日曜日に集まる事にしたのだ。
集まる理由は言わなかった。
驚かせようと思ったから。
♦
そして日曜日となる。
俺達はいつものようにガストに集まっていた。
空いていそうな15時に集まったため、日曜でも思ったよりも人は少なかった。予想通りだ。
そして15時だと言うのに、ルナとステラは相変わらずたくさんの注文をした。
「ルナ。馬越さんを呼んでもらえるか?」
注文が終わると、まず俺はそう言った。
「え?いいの……?」
ルナは聞き返す。
長い間連絡を取っていなかったのに、先にこちらから話しかけるのは不自然だという話だったわけだ。
しかし、その問題はもうクリアしている。
「ああ、理由は今から話すわけだが、最終的に馬越さんに来てもらうことになるからな。今のうちに呼ばないと遅くなるからな」
来るまでの間に、金曜にあったことを全てを話そうと思う。
「わかった」
そう言うと、ルナはスマホを弄りだした。連絡をしているのだろう。
「さて、どこから話そうか……」
「てか、そうだよ!私ソル君に遊びに誘われたと思って喜んできたんですけど」
確かに理由は言わなかったけど、集合場所をここに指定した時点で気付いて欲しい。
「ステラはわかってたよな?」
俺はステラに聞くが、よくよく見るとステラも可愛らしい恰好をしている気がする。
「あ、あの……ルナちゃんが遊びに行くって言ってたので……」
なんかごめん。
俺がみんなを驚かせようと思ったがために悲しい事になってしまった。
「それはともかくとして、金曜の放課後に馬越さんに話しかけられたんだ」
俺は誤魔化すために、一気に本題へと入る。
「え?なんでですか?」
「え?なにそれ聞いてないよー」
驚いている驚いている。
予想通りの反応で嬉しい。
「なんでかと言うと……」
なんでだろう?
もっと話を纏めて来ればよかった。
「俺がルナに付きまとってるって言われて、それは違うって言ったんだ。それでルナに確認してくれって言ったんだ」
「どういうこと?」
ルナは理解できないようで、ジト目で俺の方を見る。
「それと部活が関係あるんですか?」
ステラは頭にはてなマークでも浮かんでいるような表情だ。
当然の疑問だろう。俺にも理解できないよ。
「ま、まあ、とりあえずこれで馬越さんとルナを自然に引き合わせる事が出来たってわけだ」
一応頑張ってここまで持ってきたのだから、褒めて欲しい。
「それって私に全部丸投げしてない?」
褒めるどころかツッコまれてしまった。
見方によってはその通りである。
でも仕方ないだろ。
当人同士で話し合うべき話で、俺にはどうしようもないのだから。
「よろしくお願いします!ルナ先輩!」
しかし、俺は言い訳せずに素直に頭を下げる。
「もうっ、仕方ないなぁ。任せなさい!」
会ってすぐに気付いたが、ルナはノリやすい性格である。
そして優しい。それは人気者になるわけだよ。
ちょうど話が終わったころに、ネコが料理を運んできた。
なので、俺達は食事をしながら馬越海を待ったのだ。
「ルナ先輩……」
「マルちゃん!」
そして、食べ終わった頃に――俺はポテトをつまんでいただけだが――馬越海は姿を現したのだ。
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