本物のキラキラネームの彼女
上水流星。
今の高校生にはキラキラネームが多い。
そんなキラキラネームの中でも、星と書いてステラと読むのは本物のキラキラネームだろう。
なんせ本当にお星様なのだから。
と言っても、俺も人の事は言えないが、ソルもルナもステラもラテン語なのだから。
それはともかくとして、彼女に友達がいないと言われると少し疑問が浮かぶ。
俺から見たらだが、彼女はかなり可愛い部類だと思う。
それに、その……こんなこと言うのはなんだが、かなり胸が大きい。ルナもかなり大きいが、上水流さんはそれをも上回る。低身長なのも相まってかなりアンバランスであり目立つ。
つまり、何を言いたいかと言えば、彼女ほどの容姿なら男は放っておかないだろうという話である。
俺と違って待っていれば相手から話しかけてくると思うのだが、それでも友達がいないというのだろうか?
1年生の時はクラスが違かったので知らないが、確かに2年生になってからは彼女が誰かと話しているのは見たことないかもしれない。
そんな事を考えているとチャイムがなった。
6時間目の授業が終わったのだ。
俺は緊張する。
実は5時間目の終わりに少しDEAを開いてみたのだが、上水流さんから返信があって、「頑張ってみます」と書かれていたのである。
つまり、これから上水流さんは俺に帰りの挨拶をしに来るはずである。
緊張するのは当然だ。
「ソル、帰らないのか?」
「あ、ああ!」
アクルが話しかけて来て、俺は少し驚く。
緊張して帰り支度を忘れていた。
「あ……その、悪いんだけど先に帰ってもらっていいか?」
俺は少し考えて言った。
人が多い教室より、少し待って人が少なくなった教室の方が話しかけやすいはずである。
間違いない、これはルナにはない発想だ。俺だからこそ思い付いたファインプレイである。
「ん?そうか、わかったよ」
アクルは帰り支度を終えると、トボトボと帰っていったのだ。
なんか悪いな。
でも、これからビッチ先輩とイチャイチャするんだからいいだろ?
そろそろか?
時間が経ち、教室から人がいなくなっていく。
それでも0にはならないが、話しかけやすい環境なのは間違いないのだ。
そして、上水流さんも帰っていなかったのだ。
だが、そこでこの作戦の致命的なミスに気付いてしまう。
いつもアクルと帰ってる俺が教室に残っていたら変だということだ。
これでは、まるで俺が上水流さんが話しかけてくる事を知っているようである。つまり、俺がDEAだとバレる可能性があるのだ。
「あ、あの!」
俺がミスに気が付き、対処方法を考えているうちにいつの間にか上水流さんが目の前に立っていた。
「お、お、おう」
二重のミスである。
心の準備が出来ていない。
「さようなら!」
しかし、それだけ言うと、上水流さんは走り去ってしまったのだ。
「え?」
はぐれメタルか?
走り去ったと言うか、挨拶をして逃げられた、である。
いや、確かにDEAからの指示は帰りの挨拶をする事だった。
しかし、逃げるのは違うだろう。
とても友達を作る態度ではな。
いや、
「もしかして……」
DEAの指示だからやったけど、逃げるほど俺の事が嫌いだったのだかもしれない……
なんというか……ショックだ……
「帰ろ……」
ルナに何と言えばいいのだろう?
そんな事を考えながら、俺もトボトボと帰ったのである。
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