行き着く場所
第15話 ドアの向こう
管理者の指示通り部屋を出てすぐのドアを開けると、明かりのない部屋があった。
うっすら足元の蝋燭で見えるソファに目をやると、そこには翠が居た。
「翠のフリした誰かか?」
そう冷たく聞くと、
「まずはここに来て。それから確認して」
ある意味わかってて聞いた。
僕は隣に座るといつものように横になって膝に頭を乗せた。
すると、いつものように頭を撫でてくれた。
「……なんも考えたくない」
「わかってる。」
「みぃちゃん」
「うん?なぁに?」
「なんでここにいるの?」
「呼ばれたから来た。あんたが呼んでるって。」
「そっか。。変なこと聞くけど、翠には、その、色んな力無いの?」
「無いわけじゃない。けど必要ない。」
「なんで?」
「普通に生きてくのにそんなの要らない。欲しいならあげる。」
「俺も要らない。」
「咲だってそう思ってるはずだよ。だから使わない。」
「あぁ。なるほどね。」
「そういうこと。」
「……」
僕がじっと翠の目を見ると、
「なに?」
「おっさんに、俺を機械に繋いで欲しいって言った。」
「そうしたらここに連れてこられたの?」
「そう。」
「だから言ったでしょ」
「?」
「大人しくうちにいなさいって。覚えてない?」
―――――――――翠は僕の10個上の人。
僕のことを1から100まで理解出来た人。
そんな不思議な人。
白城 海星 @Kaisei123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます