時のねじれの中で

第12話 月下美人

―――――――――もう随分前のこと。



『翠……一緒に…』

『そうね…』


『あぁっ!!……』

『はぁっ!!……』



―――――――――――――――――。


僕達は白い部屋の白いベットの上にいた。


翠は綺麗な顔で眠っていた。


腕には牡丹、背中には赤目の虎。

左胸には白く綺麗な月下美人…。


僕らは2人で果てあって、その向こう側に来た。



――――――――――――。


この時が一番幸せだった。



――――――――――――。


でも、皆口を揃えて言う。


『翠はダメ。』

『翠はやめな。』


友達だったはずの沙耶にさえもとめられた。



でも、未だに翠だけなんだ。

僕の全てを肯定してくれる人は。



でも、でも、怖い。

綺麗で優しくて、厳しくて。

直ぐに誰かに取られそうで…だから逃げた。


友達にもなれなけど、やっぱり独占したくなる。だから…やめた。

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