第9話 新たな一歩

―――――「侑海ゆうくん、ごはんは?」

「食べる…でもその前に。」


僕はキッチンに立つ咲を後ろから抱きしめた。



「ねぇ。侑海くん」

「うん?」

「本当にあたしで後悔してない?これから先も離れない?約束できる?」

「約束する。だって咲、ずっとこれしててくれてる。」


僕は咲の左薬指の指輪を撫でた。


「外す気ないから。あんた何回あたしに離婚届突きつけた?その度に破ったり焼いたりしたでしょ?それがその証拠。忘れたなんて言わせないから。」


「忘れてない。」

「でしょ?」


「咲を悲しませた事は忘れない。今でも苦しくなる。」

「本当に?」

「うん。」

「ならいいよ。あたしは、こうやってあんたにくっつかれてないと安心しなくなった。私を求めてくれないと安心できなくなった。…愛してるよ。」

「咲さん…俺も愛してる。」


――――――――――――。


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