第6話 力の使い方

―――――――――白城、扉の前。


僕が沢山並んだ扉の一つに手をかけようとすると

直後、何者かに腕を回され捻られている様な形にになった。


「痛っててて!!」


僕が痛みで悶えていると、


『どこいくの?』と


微笑む沙耶の姿が見えた。



「… 沙耶!!痛いって!!」


「痛い??知らない。また逃げようとしてるから。このままもう少し捻ってもいいけどどうする?」



(…咲!)

僕は直ぐに頭に咲が浮かんだ。


直後、「痛い!!なに!?痛い!!…痛い!!」と

沙耶がお腹を抑えてうずくまり始めた。


それと同時に誰かが僕の腕に触れると、捻られた腕が元に戻って痛みが消えた。


すぐ誰の手か分かった。


――――――『沙耶やりすぎ。こいつも悪いけど、そんな事してもこいつは逃げるだけ。』



その声と共に咲が僕の隣に現れると僕を包み込んで

「……バカ。こうなるから離れるなって言ってたのに。痛い目見ないとわかんないんだから。」

と囁いた。


すると、沙耶が咲を睨みつけた。

でもまた痛みでうめき始めた。


「痛いね。こいつに同じ事したお返し。嫌なら消えて。二度と現れないで。こいつ傷付ける事は絶対に許さない。」


「……。」


また沙耶が咲を睨みつけたが、


「何?まだ足りないの?」と

咲は沙耶の腕を捻った。



「痛い!!…」

「こいつに同じことしたよね?『許した』なんて言ってないよ。」


「咲さん、もうやめて。可愛そう。」

「いいの。あたしが収まらない。」

「……あんたも馬鹿なんじゃないの?こんな男に…振り回されて。」

「それは沙耶も一緒でしょ。」

「あたしは違う。あたしはちゃんと繋いでおける。あんたとは違う。」


「ならなんであんたは今あたしに痛めつけられてるの?なんでこいつは私の腕の中にいるの?……大丈夫。あんたは私が守るから。だからもうウロウロしないで。いい?あたしたちが住むこの世界は危険なの。瑠花や沙耶みたいなのが沢山いる。…あたしもだけど。でも使い方を間違えると世界が無くなる。…まぁ、元々はあんたが作った世界だけど、あんただからね…ある意味危険で脆い世界になっちゃったんだろうね。。」


「ごめんね。」

「私は別にいいの。あんたがそばに居てくれればいい。」


僕が次に沙耶の方を見ると誰もいなくなっていた。


「……さあや消しちゃった?」

「消してないよ。帰らせただけ。痛いことはあれ以外はしてない。」

「ならいいや。」

「……もうダメだよ。これ以上は。あたしから離れないで。いい?」

「はい…」

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