第2話 覚醒

「なんで…どこ行ったの…。咲…!!」


するとまた瑠花が歩いてきた。


「あれは幻想。あんたのみたいものを見せた。」

「なんのために?」


僕は泣いていた。


すると、目の前の瑠花が映像のように見え始めてチラチラと壊れたテレビのようになっていた。


すると、何かがカチャカチャと摩れる音が近づいてきてその主が僕の隣に立つと、目を細めて瑠花を一瞬にして消した。


「……アイツ鬱陶しい。咲!!こっち!」


すると、咲が手をロープで縛られた状態で出て来た。その女性は僕にカッターナイフを渡した。


僕は直ぐに咲の手の縄を解いて抱き寄せた。



「ごめん。本当にごめん。痛いことされてないか?嫌な事されてないか?」

「大丈夫。捕まったフリしてただけだから」


咲は僕の頬を包み込んだ。


「消えんなよ。間違っても。」

「大丈夫。消えない。」

「消えんなよ…」

「消えない。ごめんね。弱くて。ごめんね。不安な思いさせて。まさか消されちゃうと思ってなかった。」


「アイツ殺す…絶対殺す…。俺の咲なのに…。」


「侑海。冷静になりな。思うつぼだよ。」

「さあや、でもムカつく。」

「本当にあんた達はカッと来たらすぐ血上るんだから。いつもの冷静さどこいっちゃうのよ。」

「だって…。あ、さあや、これありがと。」


僕は咲の手を引いて沙耶に借りたカッターナイフを返した。


その瞬間…懐かしい刺激が走った。


「っ……。相変わらずすげぇな。」

「今日は特別。腹が立って仕方ない。」



「…今のお前としたらすっげぇ気持ちよさそう。」

「馬鹿じゃないの。。欲しいのは私もだけど、今はダメ。」


沙耶にしか聞こえない声でそれを言うと、

沙耶は僕の頬に触れて微笑みながらそう答えた。


…そう。分かってる。

この世界で一番強い力を持ってるのは沙耶。


僕への思いも一番強い。


けど…僕の気持ちは咲にしかない。



「侑海。」

「ん?」

「……沙耶ちゃんがいい?」


初めて見せる不安そうな顔。


(……やべぇ。そそられる。)


僕は頭のネジが外れている。

衝動のまま咲にキスした。


咲は僕に微笑んだ。


「…咲、本当にお前は可愛いな。」

「知ってる。だからあたしだけ見て。そうしてくれたらもっと強くなれるから。あんたのためなら誰よりも強くなれるの。」


その瞬間、咲と2人、光に包まれた。

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