記憶

(また…熱い…)

「!?」

目を開くと辺り一面炎の海となっていた

(ここは…)

「ちゃんと逃げるんだぞ」

「いやだ!」

(逃げるってどういうこと?勝手にしゃべるのは何で…)

「心…お前は逃げなきゃダメだ」

「かえでくんとすいがいなきゃいかない!」

「心…」

(かえで…?ってさっきの人?)

「彗ちょっと代わって」

「あぁ」

(さっきの人だ)

「…出てきて。今すぐ心を連れて四季しきのところへ」

(泉四季ってあの?)

「わかりました」

「いやだ!」

「主…行きますよ」

「いかない!」

「いっ…行きますよ」

「許せ心…お前は逃げて生きなければいけないんだ」

「いやだ…」

「心…俺たちを困らせないでくれ…」

「うっ…」

「大丈夫だ俺とお前の兄を信じろ」

(兄…?)

「そうそう!お兄ちゃんを信じな!」

「わかった…」

「主…」

「葵…俺の妹を頼むぞ」

(葵!?)

「もちろんです」

「よろしくな…」

「心」

「なっ何…」

「お前の兄は俺が護るから安心しな」

「…」

「さぁ行け!」

「行きますよ主」

「あっ…」

「また会おう!千花!」

(千花…?)

・・・

「じ…俺が不甲斐ないから…」

(葵の声…?)

「ん…」

「!?主!」

(あれ…夢のまま?)

「心!」

「あおい…」

(いつもの葵だ…)

「心目覚めたみたいだね」

「きょう…」

「水いるかい?」

「うん…」

「了解」

「よかった…」

葵の話によると僕は学校帰りに火事の現場を見て気を失っていたらしい

「しんぱいかけてごめん」

「大丈夫だよ」

「もうだいじょうぶ?」

「うん」

「そろそろ他のみんなも帰ってくる頃だから下に行ってるね」

「わかった」

(夢で見た葵って人とは違うけど似てる…)

「心うなされてたけどこわいの見たの?」

「えっと…あおいににてる人とお兄ちゃんって人が出てきた」

「ほんと…うに?」

「うん」

「もしかしてきおく…もどっ」

「きおく?」

「いやなんでもない!みんなかえってきたみたいだから下行ってくる!」

(記憶…)

もしかしたらここに来る前の記憶なのかもしれない。夢にしてははっきりとしていた気がする。それに少し見覚えがある場所だった。もし現実に起こったことなら…葵とあの人が同一人物なら僕の過去を知っているかもしれない。

「せんか…」

(なんだろう…忘れてはいけない気がする)

最後に聞いた千花という言葉はどこかひどく懐かしさを覚えさせる

・・・

(苦しい…辛い…でも)

「まだ…俺は死ねない…」

「心…千花は元気にやってるかな…」

あれから何年たったのだろう…

(この暗闇から早く出たい…)

「いや…負けるな…呑まれては行けないっ」

「(そうだ負けてはいけないよ)」

「(彗)」

「(絶対に助けが来るからそれまで待て)」

「(ありがとう…)」

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