夢
蝉の声がうるさくなる季節の学校帰り
(暑い中どうしてこんなに人が集まってるんだ)
「ねぇ心」
「何」
「今日お祭りとかなの?」
「ちがうと思う」
(何か焦げ臭い…?)
「火事だ」
「ほんとだ…」
「だから人がたくさんいたんだね」
「…」
「心?」
(どこかで見たことある…?)
頭が…
「!?心!」
(手…引っ張って…)
「大丈夫か!?心!」
(葵が…あれ…どこかで…みた…顔…)
「心!…ん!…」
・・・
(あれ…熱い…)
「…ちだ!」
(声がする?)
「起こしちゃったかな?ごめんね」
(誰…?というかここはどこ)
「あ…うぅ」
(しゃべれない!?)
「大丈夫だよ」
「楓!こっちだ!」
「わかった! もうちょっと我慢してね」
(何て言ったの?)
「何とか外に出れた」
外に出ると先ほどまで居た場所が燃えているのがわかった
(だから熱かったのか)
「いぶきお兄ちゃん…お父さんとお母さんは?」
「大丈夫だよ。ひま」
「お父さんとお母さんは強いでしょ」
「うん!」
(この人たちは兄妹なのか…)
「あれ… ちゃん起きてる」
(まただ聞こえない…)
「やなぎくんはすやすや寝てるのに」
「本当だね…兄さん早く助けを求めに行こう」
「そうしたいところだけど…もう遅いみたいだ」
「え…」
「逃げた子どもたちはこんなところにいたのか」
「とっとと殺してしまおうぜっ!」
(何か来る!?)
「楓!ふた手に分かれるぞ!」
「了解!」
「 のこと絶対護れよ」
「兄さんもやなぎとひまのこと護ってね」
「ハァ…ハァ…」
どのくらい逃げたのだろうか。僕を抱いて逃げる楓と呼ばれた人は息がかなり上がってしまっている。
「ここまで…くれば…」
「あっう」
(大丈夫?)
「心配してくれてるのか?ありがとう」
この人は誰なのだろうか。分かれた人たちも…。何故狙われているのか。最初に居た場所が燃えていたのか。気になることがたくさんある。
「ふぅ…兄さんたちとの合流地点に行こうか」
「それはなりません」
(気配も無しに…人が…)
「誰…」
「その赤ちゃんを渡しなさい」
「 は渡さない!」
「そうですか…では」
(!?目の前に)
それは一瞬だった
「う…」
「渡さないからこうなるのです…用は終えたのでこれでっ!?」
(何が…)
「楓様無事でしょうか」
(あれ…この声どこがで)
「あ…葵さん…ありがとう」
(あおい?)
「どうか主とお待ちください。楓様と主を傷つけたものを排除します」
(葵ってあの葵?)
葵と呼ばれた人は男を倒しに行ったと同時に激しい眠気が襲い意識を手放した。
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