第17話  崔は調子に乗る!

 そして、2回目の集団デート? また普通車に6人乗り。今度は繭の膝枕に成功した。女性の膝って、なんでこんなに気持ちがいいのだろう? 僕はこの合宿で初めて膝枕を味わったのだが、前回は英美子、今回は繭、短期間に2人の膝枕に成功したことになる。膝枕だけで満足してしまいそうだが、それではいけない。僕は彼女を作らないといけないのだ! みんなでブーちゃんの家でお喋りしていると、嬉しい客人が2人現れた。


「タカ、崔君、このまえ言ってた、前回は来れなかったお友達、保奈美ちゃんとコバ子。スグに仲良くなれると思う」


 素子が2人を紹介してくれた。


 保奈美は、スレンダーで長身、身長は165~166? スタイルが良く薄化粧、顔の小さな清潔感のある女の子だった。肩の上で揃えられた髪がよく似合っている美人だった。


 コバ子は小林だからコバらしい。メンバーの中で一番小柄、髪はショートカット。コバ子まで美人だった。このグループは、どうして美人ばかりなのだろうか? だが、コバ子は彼氏持ち。


 コバ子が彼氏持ち? そんなことはどうでもいい! 保奈美だ! 僕は保奈美に一目惚れした。しかも、保奈美は今彼氏がいないとのこと。僕のテンションは爆上がりだった。素子とくっつかなくて良かったと思えた。真亜子に一目惚れした時のことを思い出した。


 その時、タカも保奈美をジロジロ見てかなり意識していたが、タカは素子と付き合うことになっていたから手は出せない。僕は今がチャンスだと思った。


「部屋で喋ってるのもいいけど、せっかく集まるんだから、今度みんなでどこかに行きたいね」


 素子の提案に僕が飛びついた。


「海に行きたい! 海パン持って来てるし! 海! 海!」

「どうして? 海なんか珍しくないじゃない」

「それは、あなた達が海の側で育ったからやろ? 大阪人にとっては、海は珍しいねん。っていうか、みんなの水着を見たいっていうのもあるんやけど」

「水着目当てか-!」

「だって、水着姿は見たいやんか。僕は正直なだけやで」

「崔君、意外とH!」

「だから、自分に正直だと言ってくれ。正直な方がスカッとしててええやろ?」

「崔君って、カワイイなぁ、弟みたい」


 コバ子に言われた。ダメだ、不味い展開だ。


「弟扱いしたら乳揉むぞ-!」

「だって、弟みたいだもん。しょうがないじゃない」

「弟って言うなぁー!」


 僕は後ろからコバ子の胸を揉んだ。なかなか揉みごたえがあった。英美子といい勝負だ。ブーは比較の対象に入っていない。


「そんなガキみたいなことするから、弟って言われるんでしょ!」


 保奈美に言われたので、僕は勢いで保奈美の胸も揉んだ。決して大きくはなかったが、何故か保奈美の胸だけは愛しい。


 笑いになってくれて良かったが、ちょっとノリを間違えたら絶対にセクハラだ。まあ、当時はセクハラという言葉も無かったが。合宿という解放感と旅行気分、僕のテンションはおかしくなっていたと思う。絶対に舞い上がっていた。“あ、僕、舞い上がってるなぁ”と思いつつ、興奮してしまって元のテンションには戻せなかった。


「崔君、胸揉んでばっかりだね」

「胸揉みマシーンと呼んでくれ-!」

「呼ぶかー!」


 保奈美にツッコミを入れられた。笑顔がいい。


「次回は海やでー!」

「賛成!」


 タカが手を挙げた。女の子達は、


「え、マジで水着を着るの? 水着姿、自信無いんだけどなぁ」


などと言っていたが、結局、反対はされなかった。



 そして、海! というか、水着! 美女達の水着だ!


「どうかな? 私達」


 素子が自信無さげに聞いてきた。


「ちょっと待ってや、これから1人ずつ写真を撮るから」

「え、写真撮るの?」

「うん、僕は男だらけの学校で、こんな機会は滅多に無いからなぁ」

「え! 写真? 恥ずかしい」


 と言いながら、全員が2ショット写真を一緒に撮ってくれた。


 保奈美、素子、英美子、繭、コバ子との水着ツーショット写真。これは宝物にしようと思った。自信が無いと言いつつ、全員ビキニだった。みんな、スタイルが良いのでよく似合っていた。保奈美は青、素子はピンク、繭は黒、コバ子は白、一番スタイルの良い英美子が、黄色のビキニで1番自信ありそうに見えた。天国だった。ちなみに、ブーの写真も撮ったが、ブーの写真はスグに燃やすだろう。


 カメラマンはタカがやってくれた。タカも全員と撮りたそうだったが、素子の手前、他の女の子とイチャイチャはしにくいようだ。素子と2人で写真を撮っていた。


「ちょっと、ちょっと、聞いた?」


 英美子が笑顔で言った。


「ん? 何を?」


 コバ子が聞く。


「素子とタカ、明後日、お泊まりするんだって-!」

「え! マジ? いよいよ?」

「もう、えみりんはスグに言いふらすから」


 素子は照れていた。タカはクールを装っていた。


「どこに泊まるの?」


 ブーが1番興味津々といった感じだった。


「私の家。明後日、誰もいないから」

「じゃあ、素子もいよいよ初体験だね! 良かったね!」


 繭が嬉しそうに言う。何が嬉しいんだか。


「この中で、処女は素子だけだもんね-!」


 ブーが余計なことを言う。ブーは好きになれない。


「じゃあ、終わったらみんなでお祝いしようよ」


 保奈美が言った。何のお祝いだよ。僕は参加しないぞ。


「崔君、置いてきぼりだね」


 また、ブーがいらぬことを言う。少し性格が捻くれているのだろうか?


「僕は、保奈美ちゃんのものやから」

「崔君は保奈美狙い?」

「保奈美ちゃん狙いやで。どう? 保奈美ちゃん。狙われてるけど。嫌かな?」

「嫌じゃないけど、ストレート過ぎて照れる」

「じゃあ、ガンガン狙うから、優しく受け止めてや」

「わかった。いいよ、ガンガン来てくれて」



 その時、保奈美に僕の想いがどれだけ伝わっているのか、わからなかった。







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